ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.1391

はしご酒(Aくんのアトリエ) その八百と二十二

「タテ・・・・・! タツンダ キュウジュウキュウジョ~ッ」

 一目も二目も置かせてもらっている歌人、が、OG(オージー)でもある、ある由緒正しき公立高校は、誰がナンと言おうと、私の、憧れの高校であったのである。 

 ソレなりに努力して、どうにかこうにか手にすることができた受検票の番号は、「99」番。「100」番であった友人は、そんな私の受検番号を「あと一歩足らず、って、感じだよね~」と満面の笑みを浮かべつつ揶揄してくれた。その時、一応、「ヒドいこと言うよな~」と言い返しはしたものの、正直、私も、あともう一歩という感じの受検番号だな、と、思っていた。

 そんな風に、弱気になってしまっていたからなのかどうかはわからないけれど、案の定、あと一歩足らずで、いや、おそらく、あと、二歩、三歩、四歩、足らずで、不合格。勉強が大の苦手であった私には、その憧れの高校のその門は、悲しくなるほど狭き門であったようだ。

 ちなみに、あの、「100」番の友人も、私だけに辛い思いをさせるわけにはいかないと思ったのか、不合格であった。

 おそらく、おそらくあの日。

 「99」番の神さまは、「私をバカにしたのは誰じゃ~」とお怒りになられたのだろう。いや、きっとそうに違いない。

 そう。間違いなくあの日、あの時、私と友人は、「99」番の神さまの逆鱗(ゲキリン)に触れてしまったのだ。

 と、いうわけで、アレから、私にとって「99」は、けっして軽んじるわけにはいかない特別な数字、と、なったのである。中でも、他の追随を許さないレベルに突出した「99」が、ナニを隠そう、コレ。

 憲法、第九十九条。

 「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」

 この、「99」。おいそれとは軽んじるわけにはいかないのだけれど、そのわりには、ナゼか、あの人たちの都合だけでヤタラと軽んじられがちだ。

 その、細部の、枝葉の、不都合さばかりを前面に押し出して、ドサクサに紛れて肝心要の部分までもをゴソッと変えてしまおうという手口の姑息さ、浅ましさ。けっして許されるものではない。

 そう。メチャクチャ、姑息で、浅ましい。

 もうそろそろ、いい加減、「やれ改憲だ~、やら、やれ憲法草案だ~、やら、やれ大日本帝国憲法をもう一度だ~」などと宣っておられるおエライ先生方の公民権を、憲法違反で剥奪してもいいのでは、と、マジ、思ってしまう。 

 こんな風に、ココにきて、不本意ながらも、ナゼか、ナニかと窮地に立たされがちな日本国憲法ではあるけれど、だから、だからこそ、あらん限りの全身全霊を込めて、渾身のエールを送りたい。

 

 立て・・・・・!

 立つんだ

 九十九ジョ~ッ

 

(つづく)