ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.1388

はしご酒(Aくんのアトリエ) その八百と十九

「ミスコミュニケーション?」

 「ミス、コミュニケーション!」

 ミ、ミス、コミュニケーション?

 まさかの、あの、ミス、インターナショナル、ミス、ユニバース、的な?

 「ある、地方自治体で起こった『意志疎通不全』事件」

 わけ、ないか。

 「上司が、悪びれる様子もなく、『そんな指示なんてしていないのに、部下が、勝手に誤解してヤラかしてしまっただけのこと』と言ってのける」

 んんんん?

 ナニやらイヤなモノが臭ってくる。

 「上から、コレ、言われっちまうと、真面目に、言われた通りに業務を遂行していた部下たちは、たまったもんじゃねえよな」

 おっしゃる通り、たまったものではない。

 「少なくとも、私は、そんな上司の下で働きたくはないですね」

 「問題なくソレなりに成果を上げた時は、上司のツボを得た指示があったればこそ。で、問題ありありのトンでもないコトをしでかしてしまった時は、部下の単なる聞き取り間違い、誤解。では、僕も、速やかに転職を考えるかもな」

 転職を、か~。

 いつ何時(ナンドキ)切って捨てられるかわからない、と、ズッと、怯え続けなければならないのなら、「そんな上司の下で」などと中途半端なコトを宣わず、ココは、思い切って、私も、転職を考えた方がいいのかもしれない。

 「『上』の保身のためなら平気で『下』を切り捨てる、切り捨てられる、という、その、職場の、その体質そのものに致命的な問題があるはずなのに、ミスコミュニケーションだぜ、ミス、コミュニケーション」

 だいたい、いつだって、あの人たちがカタカナを使い出したら要注意、なのである。あの人たちには申し訳ないが、ダークなナニかを誤魔化すためのカタカナ使用としか思えない。

 「ようするに、理解力に難ありのバカな部下がヤラかしたコト、と、いうわけ。つまり、つまりだ。ナニがナンでも上司は、部下がヤラかしたコトの責任なんて絶対に取りませんぜ。全て部下の責任ですぜ。という、高らかなる『責任放棄』、『責任転嫁』、宣言だな」

 ヒ、ヒドいな。

 だ、だけど、悲しいかな、こんな世の中なら、そんなコトも充分にあり得るか。

 ん~・・・。

 「じゃ、100歩譲って、部下の勘違いということに、そんな指示はしていないということに、してもいいので、せめて、『私どもの指示が不明瞭であったため、部下が勘違いしてしまったに過ぎません。部下は悪くありません。全て、私の責任。まことに申し訳ございませんでした』ぐらいなら、言ったところで大したバチは当たらないんじゃないですか」

 するとAくん、あたかも、喉の奥にへばり付いたままであった痰のようなモノを吐き捨てるかのように、「そんなコトでさえバチが当たると、当たってしまうに違いないと、マジで思っているんだろうよ、世の、上司諸君は」、と。

 ふ~。

 上司と部下。

 というこの言葉自体、なんだか、段々と、古臭く思えてくる。

 少なくとも、未来思考の組織は、もう、そんな、旧態依然とした古臭い関係性から抜け出しているのではないか。そうでなければ、一人ひとりが力を発揮することも輝くこともできないはずだ。(つづく)

 

 

追記

 ミス・インターナショナル

 ミス・ユニバース

 その手のコンテストの存在そのものの是非についてドウコウ言うつもりはない。が、男性は、未婚であろうが既婚であろうが「Mr.(ミスター)」なのに、ナゼ、未だ、女性は、未婚女性が「Miss(ミス)」、既婚女性が「Mrs.(ミセス)」、なのだろう。不思議でならない。いや、女性蔑視の悪しき臭いすらする。

 もうそろそろ、いい加減、「Ms.(ミズ)」でいくべきと、思うのだが。