はしご酒(Aくんのアトリエ) その八百と六
「オッシャルトオリ ト ソレハソレトシテ ト」
「たとえば」
ん?
「ソレなりにチカラのある政治家が、歴史の解釈として、ソレは、さすがに、ドコからドウ見ても考えてもダメだろ、という、発言をしたとしよう」
ク、クイズ?
「その発言に、『おっしゃる通り』と賛同し支持する、者と、ダメとは思うけれど『ソレはソレとして』と支持してしまう、者と。では、ドッチが問題だと思う?」
う、うわっ。究極の選択、って、ヤツか。
前者は、まだ、わかり易いが、後者は、結構ナゾめいていて、どうも、わかり難(ニク)い。
ソレはソレとして。
と、サラッと、そのダメ発言をなかったことにしてしまえるのは、いったい、ナゼなのか。
ソレはソレとして、結構、いい人だし?
お世話にもなっているし?
知り合いにも頼まれているし?
国とのパイプも太いし?
ま、政治はキレイゴトだけでは済まないし?
だから、その程度のコトで不支持なんてできないし?
ぐらいしか思い付かない。
賛同と「その程度のコトで」、か~。
ん~、やっぱり、究極の選択だ。到底、決断には至りそうもないが、とりあえず、私の思いを、考えを、Aくんに語ってみる。
「前者は、明らかなる『学び』の不足。ですよね。ハナからそんなモノに、歴史上の事実に、興味がない。あるいは、歴史そのモノを疑って掛かっている。だから、学ばない。学ばないから『そうなんだ~』とスッと賛同できてしまう」
「無知による、無知ゆえの、賛同。って、ヤツだな。先ほどの得体の知れない『熱』みたいなモノを捨て去って、クールに、ジックリと、学びさえすれば、そう簡単には、ヤミクモに、賛同なんてできねえんだがな~」
無知ゆえの賛同、か~。
言い得て妙。
「しかし、後者は、立場主義の臭いがプンプンとして」
「立場主義の臭い?」
「そうです、立場主義、の、臭い。自分が置かれている立場、至上主義。の、臭い。と、言った方がいいかもしれません。そう、至上。立場が絶対なんです。だから、どんなダメ発言も、その程度のコトで、と、済ませてしまう」
「己が置かれている立場こそが大事、というわけだ。立場で考える。発言する。行動する。ソレを社会性と言えなくもないが、つまんね~社会性だよな」
ホント、マジ、「つまんね~」社会性である。
「そんな、無知ゆえの賛同、と、立場至上主義。そのドチラかに軍配を上げることなど、私にはできそうにありませんが、後者の方が、なんとなく、あくまでもなんとなくですが、闇は、深いような気がします」
「曲がりなりにもダメだと思っているわけだからな。にもかかわらず、ソレはソレとしてと、その程度のコトでと、そんな小さなコトぐらいでと、己の立場都合でそうしたダメ発言を葬り去ってしまえる。どころか、場合によっては、そんなちっちぇ~コトでガタガタ批判ばっかりしてんじゃねえよ、と、敵陣に噛み付いたりもできてしまえるんだからな。そりゃ、深かろうよ、その闇は」
(つづく)