はしご酒(Aくんのアトリエ) その八百と三
「イメージ ニ アワナクナッタ?」
既成メディアに対して、ナゼ、私が、心許(モト)なく感じてしまうのか。
たとえば。
新聞社ではないが、某テレビ局、の、ある対応。
その対応が、どうしても、私に、そう感じさせてしまう。
ソレが、コレ。
イメージに合わなくなった。
そう、イメージに、合わなくなった。
仮に、そんな理由で、この私が、契約期間のその途中でその契約を切られたとしたら、悔し過ぎて、場合によっては訴えを起こしてしまうかもしれない。
人の道を著しく踏み外したのなら、法を犯したのなら、致し方ないと思う。けれど、ある日、突然、イメージに合わなくなった、イメージに合わなくなったである。そんな理由で、気持ちよく納得することなど、私ごときには、到底、できそうにない。
「イメージに合わないという理由で、あるテレビ番組を途中降板させられた方がおられるらしいのですが」
「イメージに合わない、ね~。契約期間がまだ残っているにもかかわらず、今どき、そんな抽象的な理由で首を切れるんだ」
「もちろん、詳細に関しては知る由もありませんが、でも、私が知る限りでは、とても正義感の強い真面目な方ですので、おそらく、時折、発信されていた政治的な、政治批判的な、発言が、その理由になったのかな、と」
「学校のみならず、その業界でも、『政治』は、見事なまでにアンタッチャブルというわけか」
「そういう発言をされているので、どうしても、裁判も抱えておられます。でも、訴えられたというだけで降板させられるというのなら、降板させたいヤツを、たとえば、『誹謗中傷だ~』などと難癖をつけて訴えてしまえばいい。と、いうことになりますよね」
「なるだろうな。正義感からの発言によって訴えれた。訴えられたというだけで、その人のイメージが悪くなって、番組のイメージに合わないと途中降板させられてしまう。仕事を失ってしまう。そりゃ、悪は蔓延るよな。だって、みんな、口を噤(ツグ)むだろ。見て見ぬ振りするだろ」
口を噤む。
見て見ぬ振りをする。
ふ~。
「『政治』がアンタッチャブルの、シモジモは黙って右向け右の、この国の、コトなかれ主義の、無難主義。見て見ぬ振りが『善』で、声を上げたら『悪』なんだから。コレって、もう、人権問題だよな」
人権問題、か~。
たしかに、人権問題かもしれない。
人としてダメだろと、間違っているだろと、勇気を絞り出して指摘した者が、イメージに合わなくなったと言われ、首を切られる。
コレほどの不条理、理不尽。
そうそうあるものではない。
(つづく)
追記
某国民営放送局のその番組は、いったい、どんなイメージをウリにしているというのだろう。
たしかに、巷には、悪いヤツはイッパイいるけれど、悪いコトも、酷いコトも、イヤになるほど、悲しくなるほど、イッパイ起こってはいるけれど、でも、そんなの見て見ぬ振りして、知らん顔して、ただ、バカみたいにホンワカと、ボンヤリと、ノホホンと、みたいな、そんなイメージ、だろうか。
ひょっとしたら、近い将来、私が高く評価しているあの局のドキュメンタリー番組も、当、某国民営放送局のイメージに合わないと、合わなくなったと、という理由で、その制作現場のトップの首が、ある日、突然・・・。いやいや、そんなコトは絶対にあり得ない。と、言い切れないような気がして、ならないのである。