はしご酒(Aくんのアトリエ) その七百と九十五
「ヘンカ ガ コワイ?」
「つくづく思うよ」
ん?
「やっぱり、変化が怖いんだろうな、ってね」
「変化が、怖い、ですか」
「そう。たとえば岩盤支持政党」
岩盤、支持政党?
「ナニが起ころうが、ナニがナンでも同じ政党を、岩盤、支持。なんて、普通、あり得んだろ」
ん、ん~。
世の中も政党自体も、ズルズルと、プラスにもマイナスにも変わってきているのに、ズルズルと、今まで通り同じ政党を支持なんて、たしかに、普通、あり得ない、か。
振り返ってみると、私自身も、その時その時でアレやらコレやらと考えに考えて、自分なりに真剣にチョイスしてきたような気はする。
「お得意の、あの人たち都合のナンチャッて『変革』やら『改革』やら、程度の、ほぼ『同じ穴のムジナ』レベルのプチ変化なら、まだしも、その根底からチャブ台返しするような大変化に対しては、もう、怖くて怖くて、って感じなんだろうよ」
その、ほぼ同じ穴のムジナレベルのプチ変化、メチャクチャ腑に落ちる。長きに渡って圧倒的な支持を得てきた巨大政党の、亜流の、ココにきての大量発生なんて、まさに、その、好例。「ほぼ同じ穴のムジナレベルのプチ変化」系の政党の大量発生、と、断じてみたところで、さほど、差し支えはないだろう。
「アッチでクビになったので今回はコッチで、みたいな、そんな感じの候補者、時々見掛けますよね」
「見掛けるよな~。単なる亜流だから鞍替えも簡単。そもそもが誤差程度の違いの補完勢力。シレッと勝ち馬に乗る、なんてことも、大いにあり得る」
勝ち馬に乗る、か~。
「適当な大義名分を振りかざして、その時その時で人気のある旬の政党から出馬する。反吐が出るほど姑息だけれど、ま、戦略としてはアリかもな」
戦略としてはありかも、か~。
ん、ん、ん~。
おっしゃる通り、候補者はそうかもしれない。そうかもしれないが、投票者、有権者までもが、そんな姑息な候補者たちと同じように「ほぼ同じ穴のムジナ」系の政党たちをアッチにコッチにと渡り歩くだけでは、あまりにも悲しい。悲しすぎる。
コレほど多方面に渡って、グズグズと、トンでもなくダークに行き詰まってきているのだ。もう、そろそろ、いい加減、「あの頃をもう一度、憲法も含めて、取り戻す」などといった的(マト)もピントも外れた懐古主義的発言にバカみたいに酔いしれるのではなくて、真っ当な未来のためにその根底から大きく変えていかなければならないと、そうしなければトゥーレイト、手遅れになると、私なんかはマジで思うのだけれど。
だけどAくんが言うように、この国のピーポーたちは、どうしても、「もっと酷くなるかもしれない」などと思ってしまいがち。
やはり、大きな変化が、メチャクチャ、怖くて怖くて、なのだろう、か。
(つづく)