ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.1357

はしご酒(Aくんのアトリエ) その七百と八十八

「イヤナモノハ イヤナンダ」

 「嫌(イヤ)でもヤラなきゃならないコトはヤラなきゃならない」

 ん?

 「と、嫌なものは嫌なんだ」

 んん?

 「の、狭間で、僕たちは、苦々しい思いをしつつも、それでもどうにか己と折り合いを付けながら、生きている」

 んん、ん~。

 たとえば、職務命令のコト、か。

 かなり、命令する側のピーポーたちの意識も変わり、法整備もされ、職務命令の「質」そのものが向上したような気はする、が、しかし、例のあの自治体の、上司 VS(バーサス) 部下、「指示なんてしていない VS 指示されたからやった」、などを目(マ)の当たりにしてしまうと、どうしても、「残念ながらまだまだみたいだな」と思ったりもする。

 「上司がトンでもない上司であったら、もう、悲劇、以外の、ナニモノでもないですよね」

 「上司が、遵法精神など微塵もない自己保身の塊(カタマリ)のような上司だったとしたら、そりゃ、悲劇、以外の、ナニモノでもないよな」

 自分が、もし、そんな状況に陥ってしまったとしたら、と、秒速で、考えてみる。

 「もう」

 「ん?」

 「もう、とっとと会社を辞めるか、藁(ワラ)人形にでも縋(スガ)るか、ぐらいしか、ないような気がします」

 考えてはみたものの、そんな、その二つしか思い付かなかった。

 「藁人形、ね~。穏やかじゃねえな。でもな、会社なんてそう簡単には辞められないし、藁人形効果も期待できそうにない」

 辞められないし、期待できそうにもない、か~。

 そう言われてしまうと、たしかに、そうかもしれない。と、なると、悲劇に堪えろ、ということしかないのか。

 けれど。

 「でもやっぱり、自分自身に自信があればあるほど、『嫌なものは嫌なんだ』と言えなければならないと、言える職場でなければならないと、思います」

 「おっ」

 「言える職場でない『悲劇』は、きっと、良心を、魂を、命を、蝕(ムシバ)むはずです」

 「お~。蝕む、ね~。蝕む、か。蝕む、な。間違いなく、蝕む。容易いことではないだろうが、蝕み尽くされる前に、清水の舞台から飛び降りたつもりで、ソコから、逃げ出さないといけねえのかもな」

(つづく)