はしご酒(Aくんのアトリエ) その七百と七十七
「power harassment (パワーハラスメント)!」
えっ。
「の、power は、圧倒的強者」
あっ。
「その、圧倒的強者による権力の濫用、嫌がらせ、差別、懲戒」
あ~。
「に、ナゼか、この国は、目を瞑(ツブ)りがち」
目を瞑りがち?
「情けない話だが、ずっと、世界ランキングの上位を維持し続けている」
そ、そうなのか。
「つまり、たとえば、power harassment を受ける側にもソレなりの原因がある、などという、圧倒的強者へのエールが、未だに、幅を利かせたりしているわけ」
圧倒的強者への、エール、か~。
「この国の長い歴史の中でピーポーたちに染み付いてきた、この、『長いモノには巻かれろ』理論は、そう簡単には払拭などできないということだ」
あっ。
「ソレって、あの、『ナガイモノニハ、マカロニウエスタン』理論ですよね」
「そうそう、抗(アラガ)って痛い思いをするぐらいなら、最初から、長いモノに巻かれちゃいなよ、の、『ナガイモノニハ、マカロニウエスタン』理論ね。で、その理論にシッカリと裏打ちされた、この社会、が、トンでもなく厄介なわけよ」
ん~。
ようするに、この国においては、その手の圧倒的強者によるハラスメントは、パワハラは、向かうところ敵なし、ということか。たとえ、ソレが、どんなに傲慢で強引で無慈悲なモノであったとしても。
最悪だ。
「その厄介さを見事なまでに可視化したモノの一つ、ソレが、先ほども言わせてもらった『エール』系の取り巻き連中、理屈抜きの岩盤支持層、親衛隊」
あ~。
「その親衛隊たちが、圧倒的強者による圧倒的に傲慢な power harassment を、正義の鉄槌だと、反対分子たちによる誹謗中傷に屈しない力強いリーダーシップだと、本気で賞賛したりする、わけよ」
たしかに、それ、かなり厄介かもしれない。
(つづく)