はしご酒(Aくんのアトリエ) その七百と七十五
「デタトコショウブ ノ ジコホシン?」
「アレコレ考えることもできる。安全対策を含めた細かいコトにも気付ける。企画力も運営力も申し分ない。で、あるにもかかわらず、たとえば、その、安全面の、アクセス面の、もろもろの、不透明感をどうしても拭(ヌグ)えない例のあの国際的ビッグイベントに、ナゼか、子どもたちを連れて行ってしまえる学校の先生って、いったい、ナンなんだろうな」
あ~。
バカではないのだ。お天道(テント)様ではないけれど、学校の先生だって、大抵のコトはお見通しに違いないのである。
なのに。
「もちろん、アレだけのカネをかけているんだから、きっと素晴らしい体験ができる、かもしれないし、いい思い出にもなる、かもしれない」
たしかに、建造物、パビリオン、を、眺めるだけでも、ソレなりに、楽しめそうな気はする。ソレが、投入した金額に見合っているのか、いないのか、は、僕ごときではナンとも言えないが。
「けれど、学校行事として参加するには、やはり、リスクが高すぎる。学校行事は何事もなく終えて当たり前。出たとこ勝負の神頼み、と、いうわけにはいかんのだ」
おっしゃる通り。
そして、ナニかが起これば、当然のように、現場の先生の責任になるのだろう、きっと。
「たしか」
ん?
「NO(ノー)と言えないナンチャラカンチャラとかいう本があったような、なかったような」
あった、ありました。読んではいないけれど。
「まさに、ソレだよな。NOと言えない学校の先生」
あ~、ノーと言えない、学校の先生、か~。
「上下左右内外から攻撃されやすい立ち位置、立場、で、あるがゆえに『NO 』なんて、そう簡単には言えんだろうな」
ん~、言えない、か。言えない、言えないな、まず。
「ソレを自己保身と毒付くことには、避難することには、さすがに、ちょっと、抵抗はあるけれど、しかし、子どもたちを預かっている以上、『出たとこ勝負の神頼み』ならぬ『出たとこ勝負の自己保身』では、やっぱり、マズいだろ、ヤバいだろ、と、どうしても、思っちまうんだよな~」
子どもたちのために、ノーと言わなきゃならないコトもある、か。(つづく)