はしご酒(Aくんのアトリエ) その七百と七十二
「センソウノ ジュンビッテ ナンダ」
「平和を求めるなら戦争の準備が必要」
えっ!?
「戦闘力、殺傷力、即応力、の、パワーアップなくして、極東の平和などあり得ないということだ」
ええっ!?
「一億総、盾(タテ)、一億総、矛(ホコ)、に、なる、覚悟なくしてナニが平和だ。冗談も休み休みにしろよな」
えええっ!?
「みたいなコトを、よその某大国のおエラいさんから経済も絡めて脅(オド)しのように、エラそうに、宣われてしまう国って、いったい、ナンなんだよ」
あ、あ~。
「って、話。ダレのための、ナンのための、一億総盾、一億総矛、で、あるのか」
一億玉砕。
そう。まるで、あの時の、この国の、軍のスローガン。一億、玉砕。
「ソレって、ほとんど、一億玉砕、ですよね」
「一億玉砕?」
「そうです。進め、一億、火の玉だ。です」
「進め一億火の玉だ、ね~。なるほど、ソレを、いま一度、外圧によって強いられる、か」
「あの時、世界中が、その『一億玉砕』を、『進め一億火の玉だ』を、猛批判していたはずなのです。なのに、今、ソレを求められる。おかしいでしょ、そんなの」
「ソレを求めている国に対して牙を剥(ム)くことだってあり得るのにな」
「そうです、その通りです。牙は、ダレかにとって都合がいい方にばかり剥くとは限らない」
「そして、最後には己自身に、さえ、牙を剥く。牙なんてものは、そもそもそういうものだから」
ふ~。
そんなことだから、この星の住人たちは、その『平和』ってヤツのために、長きに渡り、戦い、殺し合い、続けてきたのだろう。
もちろん、そんなモノでその『平和』なるものが訪れるはずもなく、それゆえ、コレからも、イヤになるほど長きに渡り、その『平和』のために戦い、殺し合い、続けていくに違いない。
そして、いつか、きっと、ドコかのダレかが取り返しがつかない致命的な過ちを犯して、終止符を打つ。
申し訳ないが、私ごときでは、そんな最悪のシナリオしか思い浮かばない。(つづく)