ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.1341

はしご酒(Aくんのアトリエ) その七百と七十二

「センソウノ ジュンビッテ ナンダ」

 「平和を求めるなら戦争の準備が必要」

 えっ!?

 「戦闘力、殺傷力、即応力、の、パワーアップなくして、極東の平和などあり得ないということだ」

 ええっ!?

 「一億総、盾(タテ)、一億総、矛(ホコ)、に、なる、覚悟なくしてナニが平和だ。冗談も休み休みにしろよな」

 えええっ!?

 「みたいなコトを、よその某大国のおエラいさんから経済も絡めて脅(オド)しのように、エラそうに、宣われてしまう国って、いったい、ナンなんだよ」

 あ、あ~。

 「って、話。ダレのための、ナンのための、一億総盾、一億総矛、で、あるのか」

 一億玉砕。

 そう。まるで、あの時の、この国の、軍のスローガン。一億、玉砕。

 「ソレって、ほとんど、一億玉砕、ですよね」

 「一億玉砕?」

 「そうです。進め、一億、火の玉だ。です」

 「進め一億火の玉だ、ね~。なるほど、ソレを、いま一度、外圧によって強いられる、か」

 「あの時、世界中が、その『一億玉砕』を、『進め一億火の玉だ』を、猛批判していたはずなのです。なのに、今、ソレを求められる。おかしいでしょ、そんなの」

 「ソレを求めている国に対して牙を剥(ム)くことだってあり得るのにな」

 「そうです、その通りです。牙は、ダレかにとって都合がいい方にばかり剥くとは限らない」

 「そして、最後には己自身に、さえ、牙を剥く。牙なんてものは、そもそもそういうものだから」

 ふ~。

 そんなことだから、この星の住人たちは、その『平和』ってヤツのために、長きに渡り、戦い、殺し合い、続けてきたのだろう。

 もちろん、そんなモノでその『平和』なるものが訪れるはずもなく、それゆえ、コレからも、イヤになるほど長きに渡り、その『平和』のために戦い、殺し合い、続けていくに違いない。

 そして、いつか、きっと、ドコかのダレかが取り返しがつかない致命的な過ちを犯して、終止符を打つ。

 申し訳ないが、私ごときでは、そんな最悪のシナリオしか思い浮かばない。(つづく)