ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.1333

はしご酒(Aくんのアトリエ) その七百と六十四

「クグツ? デク? カイライ?」

 「カネ(金)を出してもらってるんだから、言うことを聞かないと」

 えっ!?

 「カネを貰っておいて、その意向に沿わないなんて、泥棒と同じ」

 ええっ!?

 「コレって、あの、汚染土の処理施設建設絡みで地元住民に対して発せられた『最後は金目(カネメ)でしょ』と、限りなく同じ臭いがするよな」

 同じ臭い?、あ、あ~。

 その、最後は金目でしょ、は、存じている。

 その当時、その立場であった、ある、国会議員による、トンでもなく悪臭を放ちまくっていた、痴(シ)れ事だ。

 「カネ(金)が、悲しくなるほど両者に、両者の関係性に、大きな影響を及ぼす」

 カネが及ぼす影響、か~。

 権力を握る側、その権力を利用しようとする側、の、そのドチラ側に対しても、カネが、悪しき力をもつことの危険性を、Aくんは、今、語ろうとしているのか。

 「いわゆる、傀儡(カイライ)」

 カ、カイライ?

 「傀儡(クグツ)。木偶(デク)。傀儡」

 「クグツ?、デク?、カイライ、ですか」

 「つまり、カネを貰ったら、マリオネット、マリオネットたれ、操り人形たれ、と、いうことだ」

 操り人形、か~。

 「でも、やっぱり、傀儡だな」

 「操り人形とカイライとは、違うのですか」

 「ま、同じようなモノなんだろうけれど、傀儡は、ドチラかというと『操られ人形』のニュアンスが強い」

 「操られ人形?」

 「そう、あくまでも操られる側の、操られる側の哀れなる末路の、ニュアンス」

 哀れなる末路?

 「そもそも傀儡の『傀』は『怪しい』、『儡』は『落ちぶれる』だからな」

 なるほど。

 カネを貰うことで、怪しく落ちぶれ果てる、か。

 「あの人たちは、カネを貰うことによって政策が歪められたことなどない、と、自信満々に宣ってはおられるが、果たして本当にそうなのか。カネを貰っておいて『ソレはソレ、コレはコレ』で済むとは、到底、思えない」

 とはいえ。

 献金は純粋な応援。

 ソコに邪念など微塵もない。

 で、あるなら、問題などないのだろうけれど、Aくん同様、私も、ソコのところに対しては、かなり懐疑的だ。

 「言っておくが、国が投入するカネは国のカネでも、もちろん、国会議員たちのカネでも、ない。国民のカネだ。血税だ。だからこそ血税が、『国家の言うことを聞け』の片棒を担がされるようなことがあってはならんだろ。違うかい」

 違わない。

 血税が、一般ピーポーたちの口封じに使われてはならない、と、私も思う。

 「と、同様に、献金も、『一部のピーポーの言うことを聞け』の片棒を担がされるものであってはならないはず。カネをもっているピーポーたちの声だけが届くなんてことがあってはならんのだ」

 思い通りに操る、思い通りに操られる。

 カネがもつ、悪しき力。恐るべし。

 「青臭い理想だと言われてしまうかもしれないが、血税も、献金も、『誰一人も漏らさない全ての国民のために英知を結集してくれ、絞り倒してくれ』の、ための、血税であり献金でなければならないということだ」

(つづく)