ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.1332

はしご酒(Aくんのアトリエ) その七百と六十三

「セイジハ タタカイ ヨワイヤツハ・・・」

 「政治は戦い」

 ん?

 「弱いヤツは」

 んん?

 「生きてはいけない」

 んんん~。

 「一見、筋が通っているように見えなくもないが、コレって、一つ間違えると、勝つためにはナンだってアリ、敵を叩き潰すためなら手段を選ばない、って、コトに、なりかねない」 

 手段を選ばない、か~。

 「本来、政治家たちの戦いってのは、政策論争。で、あるにもかかわらず、このところ、バカみたいに巷を賑わしているのは、政策なんてソッチのけ、の、あるコトないコト織り混ぜたオキテ破りの、しかも、脅迫まがいの、ゴシップ攻撃。あまりのレベルの低さに聞いてられねえよな」

 たしかに、巷を賑わしているのは、皆が面白がっているのは、ほぼゴシップ攻撃で、この感じ、もっと政治を身近なモノに、を、情けなくも、その根っ子のところから履き違えてしまっている、としか、思えない。

 「コレが真っ当な戦いかい。こんなのが罷り通れば、たとえば、『学校生活は戦い。弱いヤツは生きてはいけない』、なんてコトにも繋がりかねないだろ」

 繋がりかねない。

 愚かなる大人たちの社会の病が、子どもたちの世界にも感染していく。

 最悪だ。

 「だから、大人たちの社会だけでなく、子どもたちの世界においても、イジメは、なくならないんだ」

 そう吐き捨てると、Aくん、ドコまでも爽やかな五島のジンで心身を浄化せしめるように、思いっ切り、グビリと。

 気に入らないヤツを、オキテ破りの人格攻撃、人身攻撃、で、寄って集(タカ)って面白おかしく、叩き潰す。消し去る。叩き潰された方が、消し去られた方が、弱かっただけのこと。弱いヤツは生きてはいけないのだ。などという理屈が、曲がりなりにも支持を得られてしまうコトに、この社会が抱える病を、闇を、トンでもない危機を、感じずにはいられないのである。(つづく)