はしご酒(Aくんのアトリエ) その七百と六十三
「セイジハ タタカイ ヨワイヤツハ・・・」
「政治は戦い」
ん?
「弱いヤツは」
んん?
「生きてはいけない」
んんん~。
「一見、筋が通っているように見えなくもないが、コレって、一つ間違えると、勝つためにはナンだってアリ、敵を叩き潰すためなら手段を選ばない、って、コトに、なりかねない」
手段を選ばない、か~。
「本来、政治家たちの戦いってのは、政策論争。で、あるにもかかわらず、このところ、バカみたいに巷を賑わしているのは、政策なんてソッチのけ、の、あるコトないコト織り混ぜたオキテ破りの、しかも、脅迫まがいの、ゴシップ攻撃。あまりのレベルの低さに聞いてられねえよな」
たしかに、巷を賑わしているのは、皆が面白がっているのは、ほぼゴシップ攻撃で、この感じ、もっと政治を身近なモノに、を、情けなくも、その根っ子のところから履き違えてしまっている、としか、思えない。
「コレが真っ当な戦いかい。こんなのが罷り通れば、たとえば、『学校生活は戦い。弱いヤツは生きてはいけない』、なんてコトにも繋がりかねないだろ」
繋がりかねない。
愚かなる大人たちの社会の病が、子どもたちの世界にも感染していく。
最悪だ。
「だから、大人たちの社会だけでなく、子どもたちの世界においても、イジメは、なくならないんだ」
そう吐き捨てると、Aくん、ドコまでも爽やかな五島のジンで心身を浄化せしめるように、思いっ切り、グビリと。
気に入らないヤツを、オキテ破りの人格攻撃、人身攻撃、で、寄って集(タカ)って面白おかしく、叩き潰す。消し去る。叩き潰された方が、消し去られた方が、弱かっただけのこと。弱いヤツは生きてはいけないのだ。などという理屈が、曲がりなりにも支持を得られてしまうコトに、この社会が抱える病を、闇を、トンでもない危機を、感じずにはいられないのである。(つづく)