はしご酒(Aくんのアトリエ) その七百と五十五
「ホネノズイ マデ スケアモンガー!」
「scaremonger(スケアモンガー)!」
ん?
「命の重さを感じ取れないからこそ、骨の髄までscaremonger なんだろうな」
ほ、骨の髄まで、スケアモンガー?
「デマの、誹謗中傷の、限りを尽くして気に入らないヤツを叩き潰す」
「ソレが、スケアモンガー、ですか」
「そう、scaremonger 。『scare』は恐怖、不安。『monger 』は商人。つまり、恐怖を、不安を、売る商人」
うわっ。
ま、まさに、誹謗中傷ビジネス。
「英語絡みのそこかしこでは、ズッと、ズッと昔から、そういったデマが、誹謗中傷が、そして、そういったモノたちのオキテ破りの拡散が、ビジネスになり得ると思われていたんだろう」
カネ(金)になるなら、ビジネスライクにオキテ破りの拡散、と、いうことか。
しかし。
「ですが、そのような、ドコからドウ見てもデマとしか思えないような代物が、ナゼ、多くのピーポーたちの心を掴むのか。ナゼ、拡散していくのか。ソコのところのメカニズムが、どうしても、私には、ナゾで、不思議で、ならないのです」
「ソレは、つまり、ナゼ、そんなモノに共感できるのか、って、ことだよな」
共感?、共感、か~。
「そう、そうです。普通の神経の、常識的な思考の、持ち主であるなら、そんなモノに共感なんてできないでしょ」
すると、短い沈黙のあと、Aくん、ユルリと、ボソリと。
「美味いモノに飛び付く」
んん?、美味いモノ?
「しかも、毒のある美味さ」
んんん?、毒のある?
「ソコに毒があればあるほど、そのダークな美味さに魅せられ、飛び付く。虜(トリコ)になり、群がる」
んんんん~、つまり。
「毒塗(マミ)れの美味さ、ソレが、デマであり誹謗中傷であると、いうことですか」
「そう、その通り。もちろん、デマなどとは思っていない、誹謗中傷とも思っていない、正真正銘の正義の鉄槌だと信じて疑わないピーポーもいるんだろうけれど。ま、ソレはソレで、充分に、問題アリアリなんだけどね」
んんんんん~、つまり、つまり。
「美味そう、面白そう、だけで、そんな毒塗れを応援したくなる、拡散したくなる、ピーポーたちも、結構、いる、と」
「いうことだ。そして、そんなその手の『面白そう』系と、先ほどの妄信的な『正義の鉄槌』系とがタッグを組んで、無節操に、一気にデマやら誹謗中傷やらを拡散させていく」
タッグを組んで、一気に、か~。
・・・、ふ~。
痛め付けることを、叩き潰すことを、苦しむ姿を見ることを、面白がることができる、骨の髄までスケアモンガー。トンでもなく、心底、恐るべし。(つづく)
追記
「It's always darkest before the dawn」(『マクベス』より)