ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.1305

はしご酒(Aくんのアトリエ) その七百と三十六

「ワルギナンテ マッタクナクテ ツイ ヤラカシテシマッタ ツレ ヲ キッテステラレル?」

 「逃げを打つ」

 ん? 

 「このセリフでもって、とりあえずダレかのせいにして逃げを打つ」

 逃げを打つ?

 「とくに、政治家たちの間で、もてはやされてきたオキテ破りの逃げゼリフ。ソレが」

 なんと、二人揃って、ほぼ同時に。

 「知ら知らなかなかったった」

 そのあまりのユニゾンさが、妙に可笑しく思えて、またまた吹き出してしまいそうになる。

 そう、知らなかった。知らなかった、で、ある。

 ま、名言と言えば名言と、言えなくもないけれど、ドチラかというと、迷える、血迷う、の、方の、迷言か。

 そんな、この逃げゼリフ。今までに何度、耳にしてきただろう。

 そして、大抵は、このあとに、平然と、涼しい顔をして、秘書に任せていた、とか、事務局長に全権を委任していた、とか、が、続く。

 もちろん、ナンでもカンでも守ればいいってものではないが、ソレにしても、ナゼ、コレほどまでに部下を、関係者を、守ろうとしないのだろう。ナゼ、全て私が悪いのです、と、言えないのだろう。不思議だ。

 「たとえば、悪気なんて全くなくて、つい、ヤラかしてしまった、ツレを、己の保身だけのためにサクッと斬って捨てるなんてこと、できるもんかね」

 できない。

 そんなコト、まず、できない。

 「仮に、そんなコトができる人間がいたとして、その人間に、政治を任せようとは、普通、思わんだろ」

 思わない。

 全く、思わない。

(つづく)