ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.1302

はしご酒(Aくんのアトリエ) その七百と三十三

「リンリ ヨリ リアル!」

 「結局、倫理よりも、real(リアル)。って、コトなんだろうな」

 リアル?

 「現実が、日々の生活が、厳しい。厳し過ぎる。その厳しさをドウにかしてくれるなら、是正してくれるなら、倫理なんて、この際、目を瞑(ツブ)ろう」

 倫理なんて、目を瞑ろう?

 「どころか、その厳しさを是正してくれようとしている我らがヒーローを、貶(オトシ)めるために寄って集(タカ)って難癖をつけているだけじゃねえのか、って」

 貶めるために・・・

 「思ってしまう」

 難癖を、か。

 「さらには、嘘か真(マコト)か定かではない情報たちが、ソレを後押しするかのようにネット上で溢れ返る」

 たしかに、溢れ返ってはいる、が。

 ・・・ん~。

 日々の、日々の生活の厳しさが、政治に対する、既存政党に対する、失望が、不信が、憤りが、「我々のために頑張ってくれているのなら、この際、倫理なんてドウでもいい」、と、「我々のために頑張ってくれている人をソコから追い出そうとしているに違いない」、とを、見事なまでに合体させてしまった、か。

 「自分たちのために頑張ってくれているなら、倫理観の破綻も、差別も、暴言も、強引な手法も、乱暴なやり口も、ナニも、カも、大目に見る。だけでは収まらず、そういったコトを指摘した心ある者を、徹底的に誹謗する。亡き者にする。などということが、仮に、もし、あるとするなら、やはり、ソレは、かなり恐ろしいコトだと思います」

 「そう、恐ろしい。そして、その恐ろしさに気付けなくなる恐ろしさは、更に一層、ナニよりもトンでもなく恐ろしい」

 恐ろしさに気付けなくなる、恐ろしさ、か~。

 「トにもカクにも、倫理よりもナニよりもrealだ、と、宣うのなら、ナニがナンでもrealから目を背けるな。realを凝視しろ。fake(フェイク)な似非(エセ)土台の上にいくらrealを積み上げたとしても、そんなモノ、いつか、間違いなく、その土台から崩れ落ちる。と、いうことだ」

 Aくんが得意とする、いつもの難解な言い回しだが、なんとなく、わかるような気はする。

 ・・・ん?

 あっ。

 ひょっとすると、コレもまた、交渉の戦略的ツール、か。

 コッチのために頑張ってくれるなら、ソッチのヤヤこしいコトには目を瞑りますよ、みたいな。

 ・・・ん~。

 ナンにせよ、私たちは、ナニがリアルでナニがフェイクなのか。ダレが真実を語りダレが嘘をついているのか。を、見抜ける眼力を身に付けなければならないだろう。切にそう思う。にもかかわらず、必要不可欠なソレが、手も足も出そうにない至難の業だとすると、ココからは見えないが、次の四つ角を右折したあたりで、ひょっとすると、取り返しがつかないレベルの悲劇が、大きな口をパックリと開けて待ち受けているかもしれない。(つづく)