ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.1241

はしご酒(Aくんのアトリエ) その六百と七十二

「アンコントロールド ヌークリアーパワー?」

 「そんなモノづくりのトンでもないバチ当たりが、あの、核、原子力、ってわけだ」

 原子力が、バチ当たり、か~。

 「どう考えたって、uncontrolled nuclear power (アンコントロールド ヌークリアーパワー)なんだよな」、とAくん。

 ん、ん?、ま、また、英語?

 妙に発音が良過ぎる英語を挟むのは、もういい加減、勘弁してほしいのだが。

 「罪深き温暖化も深刻だけれど、より深刻なのが『核』。ヘイワ(平和)利用も一文字違いで大違いのヘイキ(兵器)利用もドチラも、近い将来、制御できなくなるような気がしてならないんだよな」

 制御できない、核、原子力、か~。

 「巨大地震などの大災害。愚かなる戦争、テロ。そして、いつか暴走するのではと懸念される、AI(エーアイ)」

 その制御の出来なさ具合いを更に一層助長する、(コチラもまた、きっと、制御なんてできなくなるに違いない)AI。まさに、あの、『2001年宇宙の旅』に登場する「HAL 9000」を想起させる。

 「だから、だからこそ、uncontrolled nuclear power 。我々は肝に銘じておかなければならない」

 賛成だ。

 だけど、この手の発言をすると、必ずと言っていいほど、「じゃ、電気、使うなよな」みたいな論調が幅を利かす。目先の便利さに、都合の良さに、どうしても、ソコにある致命的な危険性に目を瞑りがちなのである。

 「そもそも、事故が起こってしまった際の処理方法が確立されていないのに、ナニが、ドコが、安価で安心安全、原子力だ」

 おっしゃる通り、全くもって、安価で安心安全、原子力、ではない。

 「たった一基の原発の事故の処理だけでも天文学的な血税を投入しなければならないというのに」

 たしかに。

 「しかも、見通しすら立たない」 

 素人目で見ても、ほとんどギブアップ寸前。おそらく、何年かけようが制御なんて出来っこない。のだけれど、あの人たちは、渦巻く原発利権のためにもギブアップなんて、まず、しない。ギブアップが、原発の終焉を意味してしまうからだろう。

 「神が与えたもうたこの奇跡の星も、トンでもなく愚かな人類の、その、中途半端で出来損ないの発明のために放射能にまみれにまみれて、また、100億年ぐらいかけて元の奇跡の星に戻るんだろうな。と、言いたいところだが、肝心要の太陽の寿命が、あと、50億年ぐらいらしいからな~」

 そ、そうだ、そうだった。

 なんか、もう、グサグサ過ぎるぐらいグサグサと、人類の愚かさが、束になって、私の身体中を突き刺しながら駆け巡る。(つづく)