はしご酒(Aくんのアトリエ) その六百と六十四
「サボローゾ!」
「saboroso(サボローゾ)!」
サ、サボローゾ?
「saboroso はポルトガル語。どういう意味か、わかるかい?」
サボローゾ。サボローゾ、か~。
しばし、しばし考えてみる。
サボローゾ。
サボるぞ。
サボってやるぞ、サボろうぞ。
コレだ、まず、間違いない。
フツフツと沸き上がる、根拠はないけれど、あり余る、自信、自信。
「ソレって、サボってやるぞ、サボろうぞ。でしょ」
「おっ、いいね~。サボってやるぞ、サボろうぞ」
「きっと、フランス語の『サボタージュ(sabotage )』がポルトガルに。で、サボローゾになった。コレ、かなり自信あります」
「そして、シルクロードを、で、この国に伝わった。って、わけか。ん~、そう言われると、なんとなく、そこはかとなく平安貴族みたいだしな」
平安貴族みたい、か~。
たしかに、平安貴族のような言い回しのように聞こえなくもない。
自信が、更に一層、強固なモノになる。
「個人的には、限りなく正解だと思うのだけれど、申し訳ないが、ちょっと違うみたいなんだよな~」
へっ。
「文字通り、サボタージュはサボったるじゅ。なんだが、サボローゾには、サボろうぞ、なんて、意味、なさそうなんだよね」
な、なんと。
あたかも、異次元の金融緩和政策にドップリと浸かって余裕をこいていたら、突然、その副作用に谷底へ、みたいな、そんな気分だ。メチャクチャわかりにくい例えだけれど。
するとAくん、痺(シビ)れを切らしたのか、ついに、サボローゾのその意味を公式発表する。
「ポルトガル語のサボローゾのその意味は」
その意味は。
「美味しい」
ほ~。
「そして、もう一つ」
ん?
「楽しい」
楽しい?
「『美味しい』が、そのまま『楽しい』に繋がる、サボローゾ。気持ち良すぎるぐらいユルリと一体化したこの感じ、古今東西、南北、時代もトコロも変わっても、コアの部分はナニもドコも変わらない、というわけだ」
美味しい、と、楽しい、とが、一体化、か~。
先ほどの「一億総泡銭」とはその根っ子のトコロで全く異なる、Aくんイチオシの「サボローゾ」のそのブラボ~さが、充分にコチラまで伝わってきて、妙に嬉しくなってくる。
「心身ともに疲れてきたら、我慢なんてしないで、サボろうぜ。美味しいぜ。楽しもうぜ。が、いい。きっと、コレこそが、この、悪臭を漂わしながらグジュグジュと煮詰まりつつある時代に、我々に残された、最後の、唯一の、真っ当な処世術だと思うんだよな~」
(つづく)
追記
プチ旅行の最中に、たまたま出会った「ふるカフェ系」の珈琲屋さん。ナゼか、王道のホットではなく、コーヒーゼリーとコーヒーのソーダ割りみたいなモノを注文。しかしながら、ドチラも、ホント、美味しかった。その店の名前が「サボローゾ」。
心身ともに、美味しく、楽しく、なる、珈琲屋さんだった。