ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.1233

はしご酒(Aくんのアトリエ) その六百と六十四

「サボローゾ!」

 「saboroso(サボローゾ)!」

 サ、サボローゾ?

 「saboroso はポルトガル語。どういう意味か、わかるかい?」

 サボローゾ。サボローゾ、か~。

 しばし、しばし考えてみる。

 サボローゾ。

 サボるぞ。

 サボってやるぞ、サボろうぞ。

 コレだ、まず、間違いない。

 フツフツと沸き上がる、根拠はないけれど、あり余る、自信、自信。

 「ソレって、サボってやるぞ、サボろうぞ。でしょ」

 「おっ、いいね~。サボってやるぞ、サボろうぞ」

 「きっと、フランス語の『サボタージュ(sabotage )』がポルトガルに。で、サボローゾになった。コレ、かなり自信あります」

 「そして、シルクロードを、で、この国に伝わった。って、わけか。ん~、そう言われると、なんとなく、そこはかとなく平安貴族みたいだしな」

 平安貴族みたい、か~。

 たしかに、平安貴族のような言い回しのように聞こえなくもない。

 自信が、更に一層、強固なモノになる。

 「個人的には、限りなく正解だと思うのだけれど、申し訳ないが、ちょっと違うみたいなんだよな~」

 へっ。

 「文字通り、サボタージュはサボったるじゅ。なんだが、サボローゾには、サボろうぞ、なんて、意味、なさそうなんだよね」

 な、なんと。

 あたかも、異次元の金融緩和政策にドップリと浸かって余裕をこいていたら、突然、その副作用に谷底へ、みたいな、そんな気分だ。メチャクチャわかりにくい例えだけれど。

 するとAくん、痺(シビ)れを切らしたのか、ついに、サボローゾのその意味を公式発表する。

 「ポルトガル語のサボローゾのその意味は」

 その意味は。

 「美味しい」

 ほ~。

 「そして、もう一つ」

 ん?

 「楽しい」

 楽しい?

 「『美味しい』が、そのまま『楽しい』に繋がる、サボローゾ。気持ち良すぎるぐらいユルリと一体化したこの感じ、古今東西、南北、時代もトコロも変わっても、コアの部分はナニもドコも変わらない、というわけだ」

 美味しい、と、楽しい、とが、一体化、か~。

 先ほどの「一億総泡銭」とはその根っ子のトコロで全く異なる、Aくんイチオシの「サボローゾ」のそのブラボ~さが、充分にコチラまで伝わってきて、妙に嬉しくなってくる。

 「心身ともに疲れてきたら、我慢なんてしないで、サボろうぜ。美味しいぜ。楽しもうぜ。が、いい。きっと、コレこそが、この、悪臭を漂わしながらグジュグジュと煮詰まりつつある時代に、我々に残された、最後の、唯一の、真っ当な処世術だと思うんだよな~」

(つづく)

 

 

追記

 プチ旅行の最中に、たまたま出会った「ふるカフェ系」の珈琲屋さん。ナゼか、王道のホットではなく、コーヒーゼリーとコーヒーのソーダ割りみたいなモノを注文。しかしながら、ドチラも、ホント、美味しかった。その店の名前が「サボローゾ」。

 心身ともに、美味しく、楽しく、なる、珈琲屋さんだった。