はしご酒(Aくんのアトリエ) その五百と十九
「セイイヲモッテ テイネイナ セツメイヲ」
「脱、ダークネス」
えっ?
「脱、ハラグロ」
ん?
「脱、ヨコシマ」
んん?
「脱、シリシヨク」
んんん?
「ソレが、ソレこそが、本来の『誠意をもって』の意味なわけ」
あ~。
「にもかかわらず、もう、単なる『様式美』みたいなモノに成り下がっているんだよな~、誠意をもって、が」
出ました、様式美。
「その様式美って、エナジーが爆発していた黎明(レイメイ)期のハードロックのその荒ぶる魂を、徐々に蝕(ムシバ)んでいった、という、あの様式美ですよね」
「そうそうそうそう、あの様式美ね。肩をもつわけじゃないけれど、ハードロックの様式美は、ソコまで酷(ヒド)くはないけどな」
ソコまで酷くはない、か~。
「つまり、魂を蝕まれ、様式美と化した『誠意をもって』は、他の追随を許さないほどブッチ切りの腐れ様式美だと」
「いうことだ。ソレほどまでに、その本来の意味の、脱、ダークネス、ハラグロ、ヨコシマ、シリシヨク、を、捨て去りまくった、そんな『誠意をもって』、の、そのあとに、先ほどの『丁寧』までもが続いたりした日にゃ、もう、マジで凄いコトになるわけよ」
たしかに、ちょっと想像しただけでも、充分に、凄そうだ。
「そして、なんと、トドメに、『説明を』、だ」
ん?
誠意をもって、丁寧な、説明を、とは。
ん~ん~ん~ん~、さすがに三連チャンは、凄さが違う。
「あの先生方にありがちな、究極の『腐れ様式美、数珠(ジュズ)つなぎ』、ですね」
「腐れ様式美の、数珠つなぎ、ね~」
「だって、あの人たちがソンなコトを言い出す時って、ほとんど、もう、決定事項なわけでしょ。カタチだけの事後説明に、本来の意味の誠意も丁寧も、必要なんてないじゃないですか」
「ないかもな。いや、ないな、ない。見せかけの品(ヒン)だけは、とてもいい、そんな、魂を抜かれた誠意と丁寧とで色付けされた『誠意をもって丁寧な説明を』、という上っ面(ツラ)な説明、って、ホント、反吐が出るほど罪深い説明だよな~」
(つづく)