はしご酒(Aくんのアトリエ) その五百と壱
「センソウヲ シラナイ コドモタチ」
♪せんそ~が、おわって~
ぼくら~が~うまれた~
せんそ~を、しらずに~
ぼくら~は~そだった~
おのなに~、なああって~
ある~き、は、じ、め、る~
へいわの~、うた~を~
くっち~ずさみながら~
な、な、なんだ!?
またまた突然歌い出したAくん。
「反戦歌かナニかですか」
「というよりは、むしろ、平和への讃歌、だな」
「平和への、讃歌、ですか」
「そ~」
♪あおぞ~ら~がすきで~
はなび~ら~がすっきで~
いつで~もえがおの~
すて~きな~ひとなら~
だれでも~いいっしょに~
あ~る~いて~ゆこ~よ~
きれいな~ゆ~ひが~
かが~やく、こみっちを~
さらに、さらに思いっ切り歌い上げてみせた、Aくん。
「戦争を知る大人たちも、戦争を知らない子どもたちも、平和の大切さを思う気持ちに違いはない。一緒に平和の歌を声高らかに歌っていこう。という思いをこの歌に込めたのだと、僕は思っている」
あ、あ~、な、なるほど。
「知らないなりに、自分たちなりに、戦争を知ろうとした、平和を知ろうとした、あの頃の戦争を知らない子どもたちも、時の流れとともに戦争を知らない大人たちになる。そして、戦争を知らない大人たちは、戦争を知らない子どもたちを生み、育て・・・」
聞いているうちに、段々と、ナゼかナンとなくイヤな予感がしてくる。
「やがて、さすがに、もう、戦争のコトなんて、平和のコトなんて、誰も真剣に考えなくなり、ドンドンと稚拙に、短絡的に、なっていく」
その、稚拙に、短絡的に、は、私も、私なりに、ソレなりに感じることはある。
「そして、その先にあるモノは」
その先にある、モノ?
「戦争を知らない大人たちが、戦争を知らない子どもたちを戦争を知る子どもたちにしてしまう、ということだ」
ん、ん~。
「戦争をしなければ戦争を、戦争の悲惨さを、愚かさを、知ることができない大人たちの、そのバカさ加減に、ほとほと情けなくなるよな」
ふ~・・・。イヤな予感、的中。
あまりにヘビー級過ぎて、もう、溜め息しか出ない。
(つづく)
追記
ある政治家の言葉。
「『戦争反対!』などと訴えている若者は、ただ単に、戦地に行きたくないだけだ」
平和を希求する若者たちのその心を「逃げ」としか捉えることができない権力者たち。そして、そうした権力者を、そうした権力者のダークに歪んだ考えを、ナゼかヤミクモに支持する、支持してしまう、ピーポーたち。
ふ~・・・。やっぱり、溜め息しか出ない。