ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.1070

はしご酒(Aくんのアトリエ) その五百と壱

「センソウヲ シラナイ コドモタチ」

 ♪せんそ~が、おわって~

  ぼくら~が~うまれた~

  せんそ~を、しらずに~

  ぼくら~は~そだった~

  おのなに~、なああって~

  ある~き、は、じ、め、る~

  へいわの~、うた~を~

  くっち~ずさみながら~

 な、な、なんだ!?

 またまた突然歌い出したAくん。

 「反戦歌かナニかですか」

 「というよりは、むしろ、平和への讃歌、だな」

 「平和への、讃歌、ですか」

 「そ~」

 ♪あおぞ~ら~がすきで~

  はなび~ら~がすっきで~

  いつで~もえがおの~

  すて~きな~ひとなら~

  だれでも~いいっしょに~

  あ~る~いて~ゆこ~よ~

  きれいな~ゆ~ひが~

  かが~やく、こみっちを~

 さらに、さらに思いっ切り歌い上げてみせた、Aくん。

 「戦争を知る大人たちも、戦争を知らない子どもたちも、平和の大切さを思う気持ちに違いはない。一緒に平和の歌を声高らかに歌っていこう。という思いをこの歌に込めたのだと、僕は思っている」

 あ、あ~、な、なるほど。

 「知らないなりに、自分たちなりに、戦争を知ろうとした、平和を知ろうとした、あの頃の戦争を知らない子どもたちも、時の流れとともに戦争を知らない大人たちになる。そして、戦争を知らない大人たちは、戦争を知らない子どもたちを生み、育て・・・」

 聞いているうちに、段々と、ナゼかナンとなくイヤな予感がしてくる。

 「やがて、さすがに、もう、戦争のコトなんて、平和のコトなんて、誰も真剣に考えなくなり、ドンドンと稚拙に、短絡的に、なっていく」

 その、稚拙に、短絡的に、は、私も、私なりに、ソレなりに感じることはある。

 「そして、その先にあるモノは」

 その先にある、モノ?

 「戦争を知らない大人たちが、戦争を知らない子どもたちを戦争を知る子どもたちにしてしまう、ということだ」

 ん、ん~。

 「戦争をしなければ戦争を、戦争の悲惨さを、愚かさを、知ることができない大人たちの、そのバカさ加減に、ほとほと情けなくなるよな」

 ふ~・・・。イヤな予感、的中。

 あまりにヘビー級過ぎて、もう、溜め息しか出ない。

(つづく)

 

 

 

 

追記

 ある政治家の言葉。

 「『戦争反対!』などと訴えている若者は、ただ単に、戦地に行きたくないだけだ」

 平和を希求する若者たちのその心を「逃げ」としか捉えることができない権力者たち。そして、そうした権力者を、そうした権力者のダークに歪んだ考えを、ナゼかヤミクモに支持する、支持してしまう、ピーポーたち。

 ふ~・・・。やっぱり、溜め息しか出ない。