はしご酒(Aくんのアトリエ) その百と百と百と百と七十七
「アイテニ シタガウ ノデハナク アイテヲ オモンパカル」
「カッコつけているわけじゃないんだけどさ~」
開口一番、そう語り始めたAくん。
「たとえば、仮に、ある、トンでもないコトが起こってしまい、ここ数年、平時に比べれば、かなり不自由な日々を強いられてきた、としよう」
ん?
「そして、あまりにも、長い、時間が経ってしまったものだから、それなりに余裕のあるピーポーから、当然のごとく、不満が噴出し始めた、としよう」
んん?
「すると、辛抱堪らず、政府も音頭を取ったりなんかして、ジワジワと、個人の判断で、という風潮が強まり出した、としよう」
んんん?
「しかしながら、まだ、ナニもカもが解決したというわけではないし、他にもナンらかの理由があったりもして、それなりに余裕のあるピーポーには、消極的、怖がりすぎ、などと思われてしまうかもしれないけれど、それでもやっぱり、まだまだそのままであった方が、と、思うピーポーも、もちろんいる、としよう」
んんんん?
「そんな時、突然、目の前に、数本の道があらわれて、『さ、どの道、選ぶ?』って問うてくるわけ。だけど、僕なんかは、ナニをその個人の判断の判断材料にすればイイのか、って、マジ、悩んでしまうんだよな~」
ん~。
Aくんみたいなタイプは、「100%個人の判断ウェルカム」に違いない、と、勝手に思い込んでいただけに、少々驚いてしまう。
そうか~、個人の、判断、か~。
たしかに、一つ間違えれば、個人の判断が強者の判断となり、ソレを望んでいない弱者たちにとっては、同調圧力以外のナニモノでもない、ってことにもなりかねないわけだから。
「ココは、やっぱり、キーワードは『相手』」
えっ?
「あ、相手、ですか」
「そう、相手。相手に従う、ではなく、相手を慮(オモンパカ)る、に、切り替えただけで、自ずと、自分が選ぶべき道が見えてくるような気がするんだよな~」
ん~、相手を慮る、に、か~。
人間なんて、本来、自己中心的で自分本意、で、あるだけに、そんな切り替え、そう易々とはできそうにないけれど、でも、「相手を慮る」をホンの少しでも心の片隅に忍ばしておくだけで、ナニもカも、違ってくるような気は、する。(つづく)