ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.1045

はしご酒(Aくんのアトリエ) その百と百と百と百と七十六

「ボクノ メイケン リンチンチン!」

 あれほどお茶の間を賑わしていた騎兵隊モノが、再放送も含めて、完全に、テレビ画面からその姿を消してしまったよな、とAくん。

 ん?

 「騎兵隊が善で、アパッチ族が悪。騎兵隊がアパッチ族を、善が悪を、叩く、叩きまくる、という構図に、ナンの疑問ももたないまま、どのおウチでも家族団欒で、楽しく見ていたわけだ」

 ん~、ナンのことやらサッパリで、さすがに、全くもってナニもピンとこない。

 「所詮、歴史は勝者の歴史、というヤツと、似てなくもない」

 あ~、ソレなら少し、わかる。

 たいていの場合、古今東西いつだって、勝者は、必ずと言っていいほど自分たちに都合がイイように歴史をつくりたがる。

 「そんな騎兵隊モノの中で、少年やワンちゃんまで登場させた人気番組があったこと、知っているかい」

 「いえ、全く存じ上げません」

 「それが、名犬リンチンチン(THE ADOVENTURES RIN TINTIN)」

 「め、名犬、リン、チンチン、ですか」

 「そう、名犬リンチンチン。スゴい番組名だろ。もちろん、当然、ご多分に漏れず、この僕も、毎週ワクワクしながらリンチンチンとハリス少年を応援していたさ。でも、今、思い起こすと、その番組名以上に、その内容が、悪い意味でスゴすぎ、としか思えない、わけ。先住民であるアパッチ族を叩きまくる西部劇に、子どもやワンちゃんまで登場させてしまうのだからな~」

 しかも、ソレを、家族団欒で楽しんでいた、となると、たしかに、ちょっと、恐ろしい。

 つまり、つまりだ。よほど冷静に、よほど奥深くまで、シッカリ学ぼうとしない限りは、この世の中のナニが善でナニが悪なのかナンてことは、そう簡単には、まず、わからない、というコトなのだろうな、きっと。(つづく)