ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.1042

はしご酒(Aくんのアトリエ) その百と百と百と百と七十三

「キワメテ シンチョウニ ケントウシナケレバ ナラナイ」

 ボンヤリと聞いていたからだとは思うけれど、つい最近まで、僕は、不覚にも、「極めて慎重に検討しなければならない」は、「もちろん慎重でなければならないが、できる限り早急に、全力を挙げて検討していくつもりだ」という意味だと思っていたんだよね、とAくん。

 あ~、あの、圧倒的な権力を握る政治家たちが、よく口にするセリフのコトだな。

 「ソレが、実は、政治の世界では、『そんな検討、するわけねえだろ、バカやろ~』という意味だと、ある人から聞いて、メチャクチャ驚いてしまった、わけ」

 だろうな。

 私が知る限り、あの人たちは、ずっと、ずっと、以前から、何度も、何度も、バカみたいに繰り返し、繰り返し、検討しなければならない、と、言い続けている。

 「全面否定は、さすがに、ちょっとマズい、とは思っているのだろう。だから、なんとなく前向きに聞こえなくもない、この『極めて慎重に検討しなければならない』で、とりあえず、その場を濁して凌(シノ)ごう、と、いうことなのかもな」

 とりあえず、その場を濁して、凌ごう、か~。

 「それでも、たとえば、軽んじるわけにはいかない某国なんかから、チョロッと、そのあたりを突かれたりした途端に、シッポを振りながら『もちろんでございますとも、早急に、取り掛からせていただきます』なんてコトに、なったりするんじゃないの」

 かもしれないな。

 あの人たちの耳は、弱者や少数派の声は聞こえなくても、そういった強者の声だけは、イヤほど聞こえるツクりになっている、ような気がする。

 トにもカクにも、この「極めて慎重に検討しなければならない」、ほとんど詐欺師のの手口。おそらく、コレからもずっと、あの人たちは、圧倒的な権力を笠に着て、「極めて慎重に検討しなければ、ならないならない詐欺」を、平然と繰り返していくのだろうな。(つづく)