ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.1019

はしご酒(Aくんのアトリエ) その百と百と百と百と五十

「ツタナイ! ツタナイ?」

 「言葉ジリを捕らえて、その拙(ツタナ)い表現がドウのコウのという話をしたいわけではない」

 ん?

 あっ、あ~、あのコトだな。

 つ、た、な、い、表現。

 拙い。

 そう、拙い。

 そもそも「拙い」には、能力が低い、の、他に、「運が悪い」という意味があるらしい。

 おそらく、「拙い表現をしてしまって申し訳ない」などと宣う人は、ほとんど、この「運が悪い」という意味で、この「拙い」を使っているのだろう。つまり、私は運が悪かった、運が悪かっただけなのよ、と。それゆえ、後悔はしても反省など絶対にするはずがないし、考え方を改めることも、まず、間違いなくないだろう。

 「そんな、拙い表現の話なのではなくて、拙い頭の中の、拙いハートの内側の、その肝心要の話をしているのだ」

 拙い頭の中の?、拙いハートの、内側の?

 ん~、どういう意味なのだろう。

 「その場合の『拙い』は、どういう意味なのですか」

 「情けない」

 ん?

 「多種多様な状況に置かれた多種多様なピーポーたちのコトを真剣に思い、考える、考えなければならない立場の人間であるにもかかわらず、ソレができない、しようとも思わない、という、そんな、致命的な情けなさ。と、いう意味の、拙い、だな」

 情けない、という意味の、拙い、か~。

 情けない。

 情けない、頭の中。

 情けない、ハートの内側。

 「なんだか、ホントに、マジで、情けなくなってきますね」

 「怒りを通り越して、トンでもないぐらい絶望的に情けなくなってくるよな~」

 加えて、そのもう一方で、深く考えることなく、大人の事情やらで適当に任命し、ヤバくなってきたらきたで、深く考えることなく適当に、その場しのぎの更迭に。そんな、事情と都合だけの拙い人事もまた、悲しくなってくるほど、トンでもなく情けない。(つづく)