はしご酒(Aくんのアトリエ) その百と百と百と百と三十一
「ピーファス! ピーファス?」
環境問題。
環境、問題。
そういえば・・・。
使ってはいけないにもかかわらず、使う。
流してはいけないにもかかわらず、流す。
身体にも著しい悪影響がある、ということで、以前から一部で警鐘が鳴らされていたにもかかわらず、聞こうともしない。
もちろん、権力者たちも大いなる責任があるにもかかわらず、そう簡単には手を付けない。
そんな、かなり悪質な「ないない」づくしの中、ようやく、ある自治体で、住人たちのその汚染状況についての検査が実施された、らしい。
おっ、やっと動き始めたか。と、思ったら、市民グループによるものだ、という。悲しいことだが、この手のコトって、まず市民グループが、とか、まずNPO法人が、とか、といったコトがホントに多い。
ソンなコンなコトをアレやらコレやら考えたりしているうちに、ハッキリと思い出した。そう、そうなのである。ソイツこそが、この、ハデさこそないが充分に厄介なアルファベット四文字、「P、F、A、S」なのだ。
「ピー、エフ、エー、エス、PFAS(ピーファス)。ご存じですか」
「ピーファス?。耳慣れない言葉だな」
さすがのAくんも知らないんだ。なにやら少し優越感。
「PFASは、Forever Chemicals。ナニモノにも屈しない最強最悪の永久化学物質なんです」
「フォーエバーケミカルズ?。永久、永久化学物質、とは、穏やかじゃないな」
「そうです。穏やかじゃない」
「つまり、永久化学物質ということは、永久に分解されない、ってことだろ。そんなモノが、未だに使われているってわけ?」
「そうです。利便性というコトだけで使われている。そして、飲料水やら農業用水やらに混じり込んでしまう」
「で、ご多分に漏れず、そうしたトンでもない現実を、責任ある権力者たちは直視しないんだろ」
「そうです。そう簡単には直視なんかしません」
「いつもの、犠牲者待ち、ってヤツか」
犠牲者、待ち?
「そ、そうです、その犠牲者待ち、ソレです。目に見える犠牲者が出るまでは、おそらく動き出さないと思います」
犠牲者、待ち。
犠牲者待ち。
随分とトンでもない言葉だけれど、ハートをドコかに忘れてきたとしか思えない権力者たちがやっていることは、ソレぐらいトンでもない、というコトなのだろう。(つづく)