ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.965

はしご酒(Aくんのアトリエ) その百と百と百と九十六

「キラキラシタ リネン ニ ギラギラ」

 「その『理念』に共感し、背伸びしてでも、無理やり身を清めてでも、皆と共に、成功に向けて取り組んでいきたくなる」、と、またまた得意の唐突感丸出しで語り始めたAくん。いつものごとく、ナンのことやらサッパリわからない。

 「な、なんですか、それ」

 「ソレがステイタスなんだろうな」

 「ス、ステイタス、ですか」

 「でも、悲しいかな、立派すぎて、結局、手に負えず、裏切ってしまうことになる」

 結局、裏切ってしまう?

 「所詮、背伸び。そもそも無理があるのだ」

 なんのことだろう。

 立派すぎるがゆえに、いくら背伸びしても、無理やり身を清めても、結局、手に負えない。場合によっては、裏切ってしまいさえする。というその理念とは、いったい。

 「たとえば、オリンピック。パラリンピック

 あ、あ~。

 「単なるスポーツ大会ではない。当然のごとくスポーツビジネスでもない。大いなる理念の下(モト)に理想を希求する者たちが集まって、一人ひとりが、一社いっしゃが、この星にとって、この星のピーポーたちにとって、そして未来にとって、きっと意味があるはずであろう成功に向けて、一心不乱に取り組んでいく、オリンピック、パラリンピック。こんな僕でも、その理念は、目的は、ホントに素晴らしいと思う。しかし、しかしだ。やっぱりそうは問屋が卸さない。オリンピックでさえ、パラリンピックでさえ、私利私欲のために喰いモノにしようとする者が、必ず現れる」

 な、なんと。

 「でもね、コレが人類の生々しい現実。という気も、してしまうんだよな~」

 「人類なんて、その程度だということですか」

 「悲しいことだけどね。人類ごときでは、その理念に追い付けない」

 理念に、追い付けない、か~。

 「そんな、キラキラとした大いなる理念に、せっかく関わるのだから、関わらせてもらうのだから、普通なら、その理念同様、皆、キラキラとしているはずなのに、していなきゃならないはずなのに、にもかかわらずギラギラと、ギラギラとしかできないピーポーたちが、どうしてもグチュグチュと湧き出てくる。ソレが人類というものなら、もう、怒りを軽く飛び越えて、絶望的な気持ちにさえ、なってくるわけよ」

 オープニングではナンのことやらサッパリわからなかったけれど、ようやく、どうにか、その全貌がハッキリと見えてくる。

 キラキラとした理念にキラキラできないギラギラなピーポーたち。たしかに絶望的な気持ちになってしまうほど、トンでもなく罪深い。(つづく)