はしご酒(Aくんのアトリエ) その百と百と百と九十三
「イマダケ カネダケ ジブンダケ」
ある元農林水産省官僚が打ち鳴らす警鐘が、思いっ切り僕たちを恐怖に誘(イザナ)う。彼によれば、その元凶は、政治や行政や企業やメディアの中に根深く根付く邪念、「今だけ、金(カネ)だけ、自分だけ」に、あるという、とAくん。
イマダケ、カネダケ、ジブンダケ、か~。
「なんだか、新種のキノコの3種盛りみたいですね」
「そんな呑気な話じゃない」
マ、マズい。
言わなきゃよかった、と、またまた秒速で後悔する。
「新種のキノコ、などというそんなナマ易しいものじゃなくて、まさに毒、毒キノコ。この毒が、この国を、ジワリジワリと腐らせていく」
国を腐らせていく、か~。
なんにせよ、その毒キノコたち、「イマダケ、カネダケ、ジブンダケ」、想像以上に手強そうではある。
「でだ、その元官僚が言うには、この国の『食』が、中でも輸入食品が、とくに『肉』が、すでに危険な状況にある、らしい」
「輸入食品、って、輸入する相手国によるんじゃないのですか」
「それを言うなら、輸出する相手国による、と言った方が正しい」
ん?
その違いがよくわからない。
「ナニが、ドウ違うのですか」
「つまり、輸出先の国が、どれだけ厳しいルールを設けているかによって、輸出する食品の中身を変えている、らしいんだな」
「えっ!?」
「ほとんどオーケーの、ザルみたいな国に対しては、成長ホルモンやゲノム食品もアリアリだということ」
な、なんという・・・。
先ほどの毒キノコの3種盛りによって、この国もまた、そのザルみたいな国になってしまっている、ということか。
「結局のところ、国民一人ひとりが、いかにして正しい知識をもつかに懸かっている。一人ひとりが正しい知識をもたなければ、いつまで経ってもザルはザル、ほとんどオーケーのザルのまま、というわけだ」
なるほど。
「そして、ラストに、トドメに、彼はビシッと、こう言い放つ」
んん?
「めざせ、騙されない “知識人„ を!」
お~。
(つづく)