ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.922

はしご酒(Aくんのアトリエ) その百と百と百と五十三

「キリコマナイ! キリコメナイ?」

 コレだけ世の中が、ナニかとモヤモヤしてくると、是非とも真実を求めて、いかなる闇にも切り込んでほしい、と、たいていの心ある一般ピーポーたちは願っているに違いないはずなのに、と、ナニやら力なく語り始めたAくん。プロローグから妙にテンションが低い。

 「はずなのに、ということは、その願いは、残念ながら、ということですか」

 「悲しいかな、そう思わざるを得ない、ということだ」

 仮に、Aくんが指摘するように、期待の星である、はずの、大手メディアたちをもってしても、こぞって、真実を求めて切り込まない、となると、普通、ソコにナニかがアルはずと、ダレだって訝(イブカ)しむ。

 「切り込まない理由がある、ということですよね」

 「切り込まない、ならまだしも、切り込めない、って感じなんだよな~」

 ん?

 「切り込まない、なら、まだ、当人たちの意思を感じるだろ。でも、切り込めない、となると、当人たちの意思とは全く関係なく、ナニやらトンでもない圧力がドスンと掛かったんだろうな、としか思えないわけだ」

 切り込まない、と、切り込めない、か~。

 「でも、あえて言おう。それでも切り込んでくれよ、頼むよ。とくに、あの、某国民営放送には、期待してしまうんだよな~、どうしても」

 あ~。

 たしかに、素晴らしいドキュメンタリー番組を制作しているな~、と、感動することが、幾度となくある。おそらく、末端の制作現場では、理不尽な圧力のその隙間を突くようにして、とにかく、いいモノをつくろうとしているのだろう。そんな気概が伝わってくるだけに、Aくんが期待するのもまた、頷(ウナヅ)ける。

 遅ればせながら、私も、あえて、あえて言わせてもらおう。

 真実を求めて、是非、いかなる闇にも切り込んでください。

(つづく)