はしご酒(Aくんのアトリエ) その百と百と八十
「ウラミハ ウラミニヨッテ ハタサレズ」
あの、ブッダの教えの中に、こんなモノがあるんだ、とAくん。
おっ。
敬愛するブッダだけに、その、「こんなモノ」に、興味津々の私。おもわず耳をそばだてる。
「怨(ウラ)みは怨みによって果たされず、忍を行じてのみ、よく怨みを解くことを得る。これ不変の真理なり」
お~。
怨みは怨みによって果たされず、か~。
怨みの連鎖。怨みは、新たなる怨みを生み落とすだけだ、ということなのだろう。
たしかに、おっしゃる通りだと思う。重々納得もできる。なのだけれど、とはいっても、己の愚かさゆえ、どうしても、時として、怨みの中にズッポリとハマりこんでしまう。そんな私をソコから引き上げることなど、そう簡単にできることではない。
つい、「忍を行じる。そんな悟りの境地、愚かなる私なんぞには、到底できそうにないな~」、と、心の内を吐いてしまう、私。
するとAくん、すかさず、「心配ご無用!」、と。
でた~。
久々に耳にした、Aくんお手製のイッパツV字回復名言、「心配ご無用」だ。この名言で、どれほど救われてきたか。
「心配ご無用。もう一つ、こんな教えがある」
その、「もう一つの教え」に期待が膨らむ私。おもわず耳をそばだてる。
「わが愚かさを悲しむ人あり。この人すでに愚者にあらず。自らを知らずして、賢しと称するは愚中の愚なり」
わが愚かさを悲しむ人は愚者であらず、か~。
ブッダにそう言ってもらえると、たしかに、少し、救われた気にはなる。
そう簡単には辿り着けそうにない悟りの境地なれど、今一度、ブッダのその「こんなモノ」を、心して肝に銘じておきたいと思う。(つづく)