ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.849

はしご酒(Aくんのアトリエ) その百と百と八十

「ウラミハ ウラミニヨッテ ハタサレズ」

 あの、ブッダの教えの中に、こんなモノがあるんだ、とAくん。

 おっ。

 敬愛するブッダだけに、その、「こんなモノ」に、興味津々の私。おもわず耳をそばだてる。

 「怨(ウラ)みは怨みによって果たされず、忍を行じてのみ、よく怨みを解くことを得る。これ不変の真理なり」

 お~。

 怨みは怨みによって果たされず、か~。

 怨みの連鎖。怨みは、新たなる怨みを生み落とすだけだ、ということなのだろう。

 たしかに、おっしゃる通りだと思う。重々納得もできる。なのだけれど、とはいっても、己の愚かさゆえ、どうしても、時として、怨みの中にズッポリとハマりこんでしまう。そんな私をソコから引き上げることなど、そう簡単にできることではない。

 つい、「忍を行じる。そんな悟りの境地、愚かなる私なんぞには、到底できそうにないな~」、と、心の内を吐いてしまう、私。

 するとAくん、すかさず、「心配ご無用!」、と。

 でた~。

 久々に耳にした、Aくんお手製のイッパツV字回復名言、「心配ご無用」だ。この名言で、どれほど救われてきたか。

 「心配ご無用。もう一つ、こんな教えがある」

 その、「もう一つの教え」に期待が膨らむ私。おもわず耳をそばだてる。

 「わが愚かさを悲しむ人あり。この人すでに愚者にあらず。自らを知らずして、賢しと称するは愚中の愚なり」

 わが愚かさを悲しむ人は愚者であらず、か~。

 ブッダにそう言ってもらえると、たしかに、少し、救われた気にはなる。

 そう簡単には辿り着けそうにない悟りの境地なれど、今一度、ブッダのその「こんなモノ」を、心して肝に銘じておきたいと思う。(つづく)