はしご酒(Aくんのアトリエ) その百と百と四十七
「カイチョウアゲアシトリ ノ コウザイ」②
「そもそも、失言と暴言と妄言は、三者三様、それぞれ、ニュアンスが違いますよね」、と、少し切り口を変えてみる、私。
「ソレだよ、ソレ。今さっきも言ったけど、まず、カロリーが全く違う」
カロリー?
「高カロリーとは、高悪魔度、高悪意度、ってこと」
高悪魔度?、高悪意度?
「失言と比べて、暴言も妄言も、トンでもないほど高カロリーなわけよ」
「で、でも、ナニが失言で、ナニが暴言で、ナニが妄言なのか、の、その判断って、メチャクチャ難しくないですか」
「そう、その通り、容易くはない。怪鳥アゲアシトリも、そのあたりの判断能力に難あり、というわけで、好かれないんだろうな」
なるほど。
悪意の塊(カタマリ)のような暴言やら妄言やらだけを喰らうようにしておけば、ひょっとしたら、益鳥として人気もウナギ上り、なんてことになっていたかもしれないものを、単なる失言まで、イヤしく喰らい付いてしまったりするものだから、喰い意地が張っている、とか、意地汚い、とか、と、揶揄されてしまうのだろう。
するとAくん、よほど腹に据えかねたのか、意を決して、怪鳥アゲアシトリにモノ申す。
「とにもかくにも怪鳥アゲアシトリよ。好きとか嫌いとか、味方とか敵とか、好都合だとか不都合だとか、といった実に個人的な感情によって、冷静さも判断力も欠いて、オマケに目くじらまで立てて、一介の、そのあたりの言いそこ間違いやら失言やらごときまで喰い散らかしまくる、みたいな、そんなこと、もうそろそろ、やめにしようぜ」
(つづく)