はしご酒(Aくんのアトリエ) その百と百と三十三
「カスミデモクッテイロヨ キミダイラキミマサクン」
「兎角(トカク)この世は公平公正が生き辛い」
えっ?
「キミダイラキミマサ(公平公正)くん、と、擬人化した方が、わかり易いかもしれないな」
んっ?、キミダイラ、キミマサくん?
「キミダイラキミマサくんは、いかなる権力にも媚びへつらうことも屈することもなく、公平公正に世界を見つめ、その闇に切り込み、発信することを使命と考え、日々、世界中を飛び回る」
ん、ん~。
「だが、だがしかし、金銭面的には厳しく、常にアップアップ。これは如何ともし難い現実なわけ」
いや、その活動が本当に公平公正であるなら、世界中に理解者はいるはず。と、おもわずそう思った私は、自分の思いを思いっ切って宣ってみる。
「その趣旨に賛同する人たちが、キミダイラキミマサくんを応援してあげればいいじゃないですか」
「そうそうそうそう、そうなんだよな~、皆で応援してあげればいいんだ。この国の、この星の、未来のために、ホントに頑張っているんだから」
おっ。頭ごなしに否定されるのでは、と、思っていただけに、驚きと同時に安堵する、私。
「でもね、キミダイラキミマサくんは受け取らない」
えっ!?
「公平公正であるがゆえに、いかなる金銭的応援も受け取らない」
な、なんという・・・。
「キミダイラキミマサくんは、頑固一徹に、そう思っているんだな。そうでなければ公平公正な立場を維持できない、と」
なんという、持続不可能なものの考え方だろう。
「更に厄介なのは、世間もまた、そう考えがちだということだ」
世間も、公平公正はこうあらねばならない、という、ガッチガチな古臭い呪縛にガンジがらめだということなのだろうか。
「巷に溢れ返る不公平不正の生き易さと比べてみても、それではあまりにも、この世の中、公平公正ばかりが生き辛すぎる。と、しか、私には思えません」
「つまり、つまりだ、公平公正を信条とするなら、霞(カスミ)でも食っていろよ、キミダイラキミマサくん、ということなんだろうな」
(つづく)