ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.776

はしご酒(Aくんのアトリエ) その百と百と七

「マタマタ ヨウカイ アマクダリ」

 血税の軽んじられ方が尋常でない。

 なぜか、血税なのだから一円たりとも無駄にするわけにはいかない、とは、ならないのである。更に、なぜか、血税をナニよりも大切なモノとして、いかに有効に価値ある使い方をするか、を、考え抜くことが仕事であったはずの官僚やらナンやらが、いとも簡単に、美味しそうな臭いに釣られてスルスルッと天下ってしまう。そしてその先で、いかに血税を上手い具合に騙し取るか、みたいなことに躍起になる。そんなオキテ破りが平然と罷り通るダークなこの世界で、またまた、元気もヤル気もパワーアップしてきたのが、あの、妖怪アマクダリだ。

 「妖怪アマクダリ、以前にも増して、またまた、俄然、元気みたいですね」

 「あ、あ~、あの、自分の体内から灰汁(アク)を取り除く時に、ついでに肝心要の『透明で公正』まで取り除いてしまう、という、妖怪アマクダリね。そう言われると、たしかに、そんな感じだな」

 「囁(ササヤ)くわけでしょ、耳元で。天下りだからなどと微塵も卑屈になる必要なんてないの、あなたが優秀だから必要とされているだけ、胸を張りなさい、堂々と、次のステージで力を発揮すればいいのよ、ってね」

 「そんなことを耳元で、甘い声で囁かれてごらんよ。そりゃ、つい、その気になってしまう、なってしまうだろ。と、いうことなんだろうな~」

 「その気にならない方もおられると思いますよ」

 「いや~、ソイツはどうかな」

 ん!?

 Aくんが、そう私に返しつつ、あまりにも不敵な笑みを浮かべたりするものだから、おもわず、やっぱり「いや~、ソイツはどうかな」なのかもしれないな、などと、弱気なことを思ってしまうほど、パワーアップした妖怪アマクダリは侮れない、ということなのだろうな、きっと。(つづく)