ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.733

はしご酒(Aくんのアトリエ) その百と七十四

「ハイキ ハ イノチ ノ ハイキ」

 フードロス、いわゆる食材の大規模廃棄が、報じられるようになって久しい。

 心ある多くの人々の声によって、以前よりは改善されつつあるとはいえ、たとえば、さすがにソコではソレはないだろ、というようなトコロでも、信じられないぐらいの大規模なフードロスが、未だにあったりするものだから、愕然とする。

 私は、この国の食育の原点は、「いただきます、ごちそうさまでした」だと思っている。この「いただきます、ごちそうさまでした」は、もちろん、「御命いただきます、御命ごちそうさまでした」のことである。

 そう、御命、オン、イ、ノ、チ。

 こうした、食べ物を単なる「モノ」ではなく、きちんと「イノチ」と捉えるという感覚、が、この国の食育のベースにあったからこそ、この国は、古来から食べ物を大切にしてきたのだ。

 にもかかわらず、この国の、そうした宝物のような感覚を、近年、軽んじるようになってきたことによって、その食育の根幹そのものまでもが揺らぎ始めている。

 このことは、やはり、どう考えても悲劇だと思う。

 廃棄は、イノチの廃棄。

 廃棄されたモノたちの、軽んじられたイノチの大逆襲もまた、近いうちに、間違いなく、ある。(つづく)