ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.702

はしご酒(Aくんのアトリエ) その百と四十三

「ズルズルズルイ ケツロンアトマワシ ダイサクセン」

 圧倒的に優位に立つアチラ側と、基本的に指示待ちするしかない受け身である現場のコチラ側との間で、繰り広げられた露骨なまでに姑息な大作戦について、聞いてくれるかい、とAくん。

 「もちろん、聞きますとも」、と、間髪入れずに、私。

 すると、その、どこまでも怪しげな大作戦のAくんなりの分析のその幕が、ユルリと、ユルリと上げられる。

 「最初から結論ありきのソレを、実施するとなると、かなりの問題点が浮き彫りになってきそうなそんな気配が満載である、にもかかわらず、ソレでいくしかない、ソレでいくのだ、と、強引に推し進めたい時の、姑息な手口の一大物語なのである」、というそのプロローグには、不気味な凄みさえ漂う。

 「しかしながら、やはり、このままでは責任問題にもなりかねない。ソレはマズい、ソレではマズいだろ、などと心配になってきたのだろうな。そんなこんなで、そう簡単には変更などできないぐらいのギリギリのところまで結論を後回しにして、さらに、ソレだけでは飽き足らず、突然、現地であるコチラ側に、最終的な結論は、現地の実情に合わせて、などと言われてしまう始末。推測だが、おそらく、仮にソレで問題が噴出したとしても、最終的に決めたのはオタクさんたちですからな~フフフフフ、みたいな、そんな、悪魔のような大作戦にしか見えないのが、この、『ズルズルズルい結論後回し大作戦』なわけよ。わかるかい、この姑息さが」、と、一気に捲し立てたAくんのその表情から、この分析に対する自信のほどが窺える。

 「現地やら現場やらは、とりあえずは致し方なくソレの線で準備しますからね~。ラストのラストで結論を振られても、その時点ではもう、ソレでいく、という選択肢以外の選択肢、なんて、あり得ないのではないですか」

 「あり得ないとも言い切れないだろうけれど、ドチラを選択しようとそのストレスは、相当なモノだろうな。真っ当な神経の持ち主であるとするならば、間違いなく、疲れ果てる。それほどまでに現場を、末端を、疲れ果てさせる『ズルズルズルい結論後回し大作戦』だということだ」

(つづく)