ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.642

はしご酒(Aくんのアトリエ) その八十三

ジェンダー?」①

 この国に、この星に、差別というものが存在していなければ、ソンなヤヤこしいことにはならなかったのではないだろうか。

 しかしながら、いかんせん、現実は、見事なまでに残念まみれに、差別が、歴然と、強烈に、古(イニシエ)より存在し続けている。

 だからこそ、このところの、巷を、賑わしている「ジェンダー」問題に対しても、どうしても、私もAくんも、その、あまりのヤヤこしさのために、敬遠しがちだ。

 ナゼ、ソンな、消極的丸出しみたいなことになってしまったのか。 

 おそらく、それは、長い歴史の中で、歪んだ価値観が幾重にも折り重なるように積み重なって、「圧倒的な優位」というものをつくり上げたということに起因するのだろう。

 圧倒的な優位。この、悪しき得体の知れないモノが、実に厄介なのである。

 たとえば、本人の意思とは関係なく、私がAくんが、圧倒的な優位の側に組み込まれたとしよう。その時点で、すでに、罪を背負わされてしまっているのである。だからこそ、不本意ながらも優位側に立たされた者は、より慎重に、深く、己の考えを整理しきっておく必要がある、と、思わざるを得ない。

 あらためて、そんなヤヤこしいことをあれこれと考えてみなければならないほど、この世の中は、ヤヤこしさがヤヤこしさを呼ぶヤヤこしさヤヤこしさワールドなのである。そして、私もAくんも消極的丸出しみたいなことになってしまっているのだろう。

 それでもときおりAくんと、この話題に触れることはある。

 そのときは必ずと言っていいほどそのどこかで、どちらからともなく問い掛ける。

 そもそも、ジェンダー、って、ナンだ?

(つづく)