ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.616

はしご酒(Aくんのアトリエ) その五十七

「イエロー!」

 とくに大好きな色、というわけでもないのだけれど、妙に気になって仕方がない、という色がある。それが、イエローなんだ。と、Aくん。

 「でも、黄信号、イエローカード、黄疸(オウダン)、黄色ブドウ球菌、など、どうしても、それはアブナイよ、みたいな、そんなイメージばかりが前面に、押し出されてくるように思えてしまうのですが」、と私。

 「並べてくれたよな~、ズラリとネガティブな黄色たちを」

 「ネガティブかどうかは別にして、のんびり構えてはいられない、という緊張感はありますよね、黄色には」

 「そうだな、おっしゃる通り、のんびり構えてはいられないな」

 しかしながら、おそらく、Aくんにとってのイエロー、黄色、には、もう少し特別なナニかがあるのだろう。

 

 イエロー。

 黄色。

 なにやら謎めいてくる。

 

 するとAくん、その謎をユルリと解き明かし始める。

 「僕にとってのイエローは、光と土」

 「光、と、土、ですか」

 「そう、光と土。光と土のイメージが、そのままイエローのイメージに繋がっている」

 「光と土か~。いいですね、それ。いい、いいです」

 同じ色だというのに、その色から感じ取るものが、場合によっては真逆なほどに違う。大切なのは、まさにソコなのだろう。一人ひとりの心の有りようが、それぞれが見るその景色まで変えてしまう。面白くもあり、恐ろしくもある。

 「光と土は、生命の象徴」

 「生命の象徴、ですか」

 「そう。光と土が命を育む。飛躍し過ぎかもしれないけれど、それは教育にも通じる、と、僕は思っている」

 

 イエローか~。・・・

 

 多分、その歌詞の内容とはナンの関係もないだろうが、ナゼか妙に気に入っているColdplay の♪Yellowという曲が、微(カス)かに、ドコからともなく聴こえてきたような気がした。(つづく)