はしご酒(Aくんのアトリエ) そのニ十四
「アイシュウノ ツチダンゴ」①
いつもの道の駅から西へプラプラと歩く。振り返ると、そこに、以前に登った小振りの山がある。その山を背に、さらにプラプラと歩くと・・・、と、妙なドラマチック感たっぷりに語り始めたAくんの、その語りの行き着く先が、ズンと気になってくる。
真夏の川べりの細い道を行く。桃色のグラデーションが美しい芙蓉(フヨウ)の花が咲いている。芙蓉の花言葉は「妖艶」。さすがに、ソコまでは感じられないけれど、灼熱の焦げた空気が、爽やかに清められているような気はする。
などと、語り続けられるその語りの行き着く先が、さらに一層ズンズンと、気になって気になって仕方なくなる。
あぶない
水をあまく見てはいけない!!
黄色と赤と黒との配色が、やたらと眩しい小さな看板が立て掛けられた溜め池の横を通り過ぎると、こじんまりと、こんもりとした林に辿り着く。先ほどまで全く感じることができなかった風が心地いい。
小さな神社。ホントに小さな神社だ。
おっ!、おっ、おっ、おっ、おっ、おっ。
私の中で、ジワリジワリと溜まりに溜まった「ズンズン」が、一刻も早くエサにありつきたくてしかたがない、そんな餓えた犬のように、うるさく吠え始める。(つづく)