ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.529

はしご酒(4軒目) その百と百と七十

マケマケヤマ ナ カチカチヤマ」①

 あまりの口の悪さに腹を立てたお爺さんが、そのタヌキを捕まえる。しかし、ヒトのいいお婆さんが、タヌキに騙され、殺害され、スープにまでされ、さらには、なんと、ナニも知らないお爺さんは、それを「美味い」などと宣いつつ飲み干してしまう、という、最高にサイコホラーなオープニングが、あまりにもショッキングな昔話『かちかちやま』。

 大人の童話であるグリム童話と同様に、子どもたち用にソフトにアレンジされる前のこの国の昔話も、なかなかの大人の昔話ぶりなのである。

 「そして、必殺仕事(人)ウサギによる、復讐の後半戦に突入するんだよな」、とAくん。

 サイコからバイオレンスへの展開が、秀逸と言えば秀逸なのだけれど、この『かちかちやま』、実は、現代社会が抱える数々の闇を、伝えてくれようとしている社会派ドラマのように見えなくもない。

 そう考えると、なんとも、ブルッと小さく震えてしまうほど、一層、興味が、ブルブルと深まっていく。(つづく)