はしご酒(4軒目) その百と百と六十一
「マスマス ミミ ヲ スマス」②
己の意見は述べる。
相手の意見も、とりあえずは聞く。
でも、ひょっとすると、聞いているように見えるだけで、実は、耳の中に、高性能でハイパワーなフィルターが内蔵されていて、ほとんど相手の意見など、脳に辿り着く前に、吸着され排除されてしまうような、そんな仕組みになっているのかもしれない。
あげくの果てには、「問題点ばかりを突いてアレコレ言及されるが、良い点だってあるわけだから、ソコに目を向けないとダメなんじゃないですか。反対するばかりでは前に進めないでしょ」、と宣い出す始末。
この国が、この星が、良い点だけに、都合のいい点だけに、目を向けて、これまでに犯して続けてきた過ちを、ほんの少し振り替えってみただけでも、その、今、考えられる問題点にこそ、目を向けなければならない、と、考えることが、ごく普通の考え方だと思うのだけれど、「それが政治というものでしょう」などと、強引に結論付けられてしまうと、もはや、政治関連の人たちの世界では、耳は、瀕死の状態なのかも、と、心底、思えてきてしまうから、なんだか、とてつもなく恐ろしくなってくる。
耳をすます
耳を傾ける
耳をそばだてる
耳をダンボにする
単なる「聞く」で済ませてしまうのではなく、これほどのバリエーションをもたせているというコトは、ボンヤリと聞くだけではダメなんだ、というコトを、私たちに、さりげなくだけれど力強く、伝えてくれているというコトなのだろう。
そんな、時代だからこそ、私たちは、ますます耳をすます。(つづく)