ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.487

はしご酒(4軒目) その百と百と二十八

「サヨナラ ソレハナイセイカンショウデショ~」

 内政干渉、という言葉がある。鎖国でもしているのならともかく、これだけボーダレスにクロスオーバーしている現代社会においては、古くから「痛いところを突(ツツ)かれたときの都合のいい必殺の逃げ技」として、役目を果たしてきた、「それは内政干渉でしょ」ではあるけれど、申し訳ないが、もはや通用しない、と、僕は思っている、とAくん。

 とくに、その痛いところが、人権や差別や暴力と、密接に関わっているとするなら、尚更のことである、と宣う。たしかに、当然のことながら、内政干渉には、悪玉と善玉があり、善玉を行使して悪玉を拒否する、ではなく、悪玉を行使して善玉を拒否する、などという手前勝手なことが、通用するとは、到底、思えない。

 Aくんが熱く語る、その理屈、普通にサラリと、誰にだって理解されそうなものなのに、なかなかどうして、そうは問屋が卸さない。とかくこの世は、アヤシイがアヤシイを呼ぶアヤシイアヤシイワールドなのである。

 一歩、外に向けて踏み出したそのときから、大なり小なり、多かれ少なかれ、相手国に対する内政干渉は、否が応でも自動的にスタートしている、と、私は思っている。

 そんな一歩を、ほとんどの国が踏み出しているのだから、そろそろ、「サヨナラ、それは内政干渉でしょ~」、と、その、都合のいい必殺の逃げ技に、手を振って気持ちよく、別れを告げてあげなければならない、はずなのだけれど。(つづく)