ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.473

はしご酒(4軒目) その百と百と十四

「テンサイヨウチエンジ ノ ススメ」①

 そもそも、幼稚園児は、皆、天才なのかもしれない、と、自慢の唐突さでAくん。

 以前に、ちょっとしたご縁があって、東京の近郊都市から、さらに少し外れたところの、とある幼稚園にお邪魔したことがある、と言う。

 そしてその幼稚園、子どもたちが本来もっているパワーが、エナジーが、常に爆発しているような、そんな、いい意味で落ち着きのない幼稚園であったらしい。

 聞いているだけでも、その幼稚園の子どもたちに、興味がプクプクと湧いてくるぐらいだから、Aくんか、突然、幼稚園児は、皆、天才なのかもしれない、と言い出すのも、なるほど、頷ける。

 「ほら、あの、おしゃれな着物夫婦、いただろ」、と、さらなる唐突さでAくん。

 「えっ、あ、あ~、そのおふたりさんと、たまたまバッタリと出会って、いまさっきまで一緒に呑んでましたよ」

 「へっ、そうなの。元気そうだったかい」

 「はい。相変わらず、カッコいいおふたりさんでした」

 「ちょっと前に、そのカッコいいおふたりさんと、久しぶりに一献傾けたときに、奥さんが、旦那に言うわけよ、まるで、幼稚園児ね、ってね」

 どうせ、Z'さんと、トンでもないバカ話で盛り上がっていたのだろう。でないと、Zさんが、理由もなく、そんなことを言うわけがない。

 「そのとき、ナニを話していたんですか」、と、少し嫌味な雑誌記者のような、そんなもの言いで、尋ねてみる。

 「それがだ、ナニも覚えていないんだよな~。ただ、そのときの、その、おふたりさんの掛け合いだけは、ナゼか、ハッキリと覚えている」

 ナニやら面白くなってきた。

 「どんな掛け合いだったんですか」

 いかにも、それほど聞きたいのなら、教えてあげてもいいけどね、的な、そんな表情で、実に嬉しそうに、そのときの、その、おふたりさんの掛け合いを、ユルリと再現し始めたAくんなのである。(つづく)