ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.430

はしご酒(4軒目) その百と七十一

「ムネン!」①

 普段通りの生活が、どうしようもないような招かれざるナニかによって、普段通りでなくなる、というようなことは、実は、それほど珍しいことではなくて、そんなことは、大昔から、何度も何度も繰り返されてきました、と、あるお寺のご住職が、これ以上ないというぐらいのクールさで、私に話されたことを、ふと思い出す。

 そして、さらに、この今と比べれば、比較にならないほどナニもなく、ナンの知識もない、それゆえに、多くの犠牲も払ってはきましたが、それでも、そんな時代であったにもかかわらず、人々は、乗り越えてきたのです、と、付け加え、その話しを終えられた、と記憶する。

 とはいうものの、どうしても、よりにもよって、なぜこの今、こんなことが、とか、ホントについていない、アンラッキーだ、とか、なんか、オレ、悪いことでもしたかよ~、とか、と、ついついボヤいてしまう。ボヤいてしまう、どころか、ボヤいてナニが悪い、ムカつく、クソッ、と、キレてしまったりまでする始末。

 それでも、そんな、ボヤく気持ちが全くわからない、というわけではなく、どちらかと言えば、あのご住職のような境地よりも、むしろ、ウンと身近な気さえする。

 ただし、ボヤくことぐらいで、それなりに気が済む程度のことであればいいのだけれど、そうは問屋が卸さないほどの「無念」が、ソコにある、そのとき、ボヤくことぐらいしかできない我々一般ピーポーは、一体、どうすればいいのか、ハタと困り果ててしまう。(つづく)