ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.403

はしご酒(4軒目) その百と五十四

「ヒカリカガヤク パワフルマン パワフルウーマン パワフルヒューマン!」②

 そんな私のプチ反旗に、「そりゃそうだな。せっかく言い換えるのだから、どうせなら前向きに、という君の指摘は、全くもってその通り、的を得ている」、と、拍子抜けするほど早々に、納得の表情を見せるAくん。

 少しぐらいは「そうじゃないだろ」と、抗(アラガ)ってみてくれても良かったのに、などと思いつつ、その、「言い換えるとするならば」の前向きバージョンに耳を傾ける。

 言い換えるとするならば、エナジー溢れる者は、ここ一番というときだからこそ、闇に引きずり込まれることなく、その闇さえも己の燃える魂で照らす、ということだ。それゆえに、そうした者たちの言動が、弱りきった迷える仔羊たちに、愛と勇気と信じる心を与える。のだろう、と、気持ち良すぎるぐらい前向きに、力強く語り終えたAくんに、もちろん私は、清き一票を投じる。

 トンでもない嵐が吹き荒れる、ソンな嵐に見舞われる、という、ココ一番なそのときに、ブレることなく、ドンと構えて、愛と正義のために、どこまでもクールに行動できるエナジー溢れる者たちを、この国の、この星の、さまざまなところで、たしかに、目にする。

 「エナジー溢れる、光り輝くパワフルマン、パワフルウーマン、パワフルヒューマン。そんなパワフルヒューマンたちに、憧れどころか嫉妬までも感じてしまうほど、僕自身もそうありたい、そうあらねばならない、と、思いはするけれど・・・」

 めずらしく、さすがのAくんも、目の前に聳(ソビ)える山のあまりの高さに怯(ヒル)む心を、隠しきれないようだ。

 せめて、そうありたいと思う心だけは、失わないでいたい、大切にしたい、もち続けたい、と、あらためて思う。

 もち続けていれば、いつか、ひょっとしたら、その山の高さに怯む心を、払拭できるかもしれない。(つづく)