ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.399

yはしご酒(4軒目) その百と五十

「アブリダサレル ヤミ」①

 「ホントに旨いな~」と、もう一切れ、エイヒレを口に放り込むAくん。名探偵は、その旨さの秘密が、まず、そのツケダレにある、と、確信しているようだ。

 そして、トドメの「炙(アブ)り」。ツケダレと炙りとの相乗効果が、旨味を、更にパワーアップさせているのだろう、と結論付ける。

 たしかに、このトドメの炙り、には、底知れぬものを、私も感じる。焼くとも炒めるとも揚げるとも、ひと味もふた味も違う、この手間いらずの一手間は、まさに、「魔法」と言ってもいいかもしれない。

 「ただし、この炙り、炙り出すものが、そうした旨味のようなものとは、必ずしも限らない、というところが、ちょっとしたミステリーなわけだ」、と、なにやら不適な笑みを浮かべながらAくん。

 益々、サスペンスフルな展開を帯び始めた、名探偵の、その語りの行方に、私の興味関心もグググググッと高まる。(つづく)