ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.396

はしご酒(4軒目) その百と四十七

「オレヲ テラス タイヨウ」①

 自分の力だけで、自分を輝かせることなど、そう易々とできることではないけれど、幸いなことに、俺には、俺を照らす太陽がある、みたいなことを、誰かが言っていた、とAくん。

 俺を照らす太陽か~・・・。

 「俺を照らす太陽。なんか、カッコいいですね」、と私。

 「好きな言葉なんだよな。誰の言葉であったのかは覚えていないけれど、その言葉だけは、なんとなく忘れられないままでいる」、とAくん。

 たしかにカッコいい。でも、そのカッコいい言葉を何度か頭の中で繰り返しているうちに、ナニが、カッコいいのか、そして、その太陽とは、いったいナンなのか・・・、ジワリジワリと謎のベールに包まれ出す。

 「カッコいいですけど、その太陽って、ナンなのですか」、と、Aくんに、その、覆い被さろうとする謎のベールを剥ぎ取ってもらおうと、尋ねてみる。

 「そうだな~」

 そう呟くとAくんは、いかなる謎も解き明かす、ちょっとした名探偵の如く、推理の世界にでも身を投じたのだろうか、再び、しばらくの間、黙りこくってしまう。

 黙りこくってはしまったのだけれど、私は私で、再び、女将さんとのホッコリタイムを、その流れの中でごく自然に、もつことができたわけで・・・。(つづく)