ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.386

はしご酒(4軒目) その百と三十七

「イノチ ト タマシイ」③

 「思えないか~・・・、思えないよな~・・・、そりゃそうだな、と、僕だって思う。でも、仮に、そのために、君以外の、家族以外の、誰かが、傷ついたり、不幸になったり、命を落としたり、などということがあったとしたら、きっと君の心の中には、永久に消えることのない傷が残る、ような、そんな気が・・・、どのツラ下げて偉そうに、って感じだけどな」、と、静かに、どこまでも静かに語るAくん。

 たしかに、こんな脆弱な魂しか持ち合わせていない私では、そのような窮地に立たされたとき、おそらく、狼狽(ウロタ)えたり、ジタバタしたり、するだけで、結局、人として胸を張れるような行動など取れるはずもなく、挙げ句の果てには、Aくんが指摘するように、永久に消えることのない心の傷を背負うことになってしまうのかもしれない。それぐらいの想像は、辛うじて、私にでも、つく。それでも、難しい、難しすぎるのだ。

 とはいえ、私の胃袋には、そのまま放置しておけば、いずれはプスプスと腐り出すかもしれない未消化のモヤモヤが、残ったままである。

 私が、より私らしく生きていくためにも、もう少し自分自身というものを、ジックリと見つめながら、いまひとたび、その胃袋の中の未消化のモヤモヤに、腰を据えて向き合う必要がありそうだ。(つづく)