はしご酒(4軒目) その百と弐
「マヨウコトハ ツミ?」
迷うことは罪だろうか、とAくん。
その言葉の意味が、いつものことながらよくわからなくて、どうしたものかと、しばし悩む。
・・・
「迷うことが、ですか」
「そう、迷うことが」
「迷うこともまた良し、ということ、ですか」
Aくんは、ソコに潜む、絡む、問題点やらリスクやらに対して、考えに考える真摯な態度が、まさにソコにあるから、悩み、迷うのだ、と、熱く語る。そして、悩み、迷う、そのことのその理由を懇切丁寧に説明することが、することこそが、むしろ、リーダーたちの責務なのではないのか、と補足する。
悩み、迷うことが、頼りなさ、に、繋がるという意見も、あるにはあるし、わからないわけではない。
しかしながら、最も恐ろしい罪とは、問題点やらリスクから目を逸らし、場合によっては隠蔽し、美味しい部分だけを、自信満々にことさら前面に押し出して、強引に押し通そうとするその姿勢そのものであるはずだ、というAくんのその指摘を、「それは、ちょっと飛躍しすぎでしょ」と、払い除けることなど、私には、到底、できそうにない。
「頼りなさとは真逆の、魂が込められた、強さを秘めた、肝が座った、そんな、悩み、迷う、も、あるということだ」
肝が座った、悩み、迷う、か~・・・、なるほど、ストンと腑に落ちる。(つづく)