ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.351

はしご酒(4軒目) その百と弐

「マヨウコトハ ツミ?」

 迷うことは罪だろうか、とAくん。

 その言葉の意味が、いつものことながらよくわからなくて、どうしたものかと、しばし悩む。

 ・・・

 「迷うことが、ですか」

 「そう、迷うことが」

 「迷うこともまた良し、ということ、ですか」

 Aくんは、ソコに潜む、絡む、問題点やらリスクやらに対して、考えに考える真摯な態度が、まさにソコにあるから、悩み、迷うのだ、と、熱く語る。そして、悩み、迷う、そのことのその理由を懇切丁寧に説明することが、することこそが、むしろ、リーダーたちの責務なのではないのか、と補足する。

 悩み、迷うことが、頼りなさ、に、繋がるという意見も、あるにはあるし、わからないわけではない。

 しかしながら、最も恐ろしい罪とは、問題点やらリスクから目を逸らし、場合によっては隠蔽し、美味しい部分だけを、自信満々にことさら前面に押し出して、強引に押し通そうとするその姿勢そのものであるはずだ、というAくんのその指摘を、「それは、ちょっと飛躍しすぎでしょ」と、払い除けることなど、私には、到底、できそうにない。

 「頼りなさとは真逆の、魂が込められた、強さを秘めた、肝が座った、そんな、悩み、迷う、も、あるということだ」

 肝が座った、悩み、迷う、か~・・・、なるほど、ストンと腑に落ちる。(つづく)