ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.336

はしご酒(4軒目) その八十七

「ソレヲイッチャア オシマイヨ」

 寅さんじゃないけれど、「それを言っちゃあ、おしまいよ」、ということが、この世には、結構あったりする、とAくん。

 その、おしまいよ系の中で、この頃、なんとなく気になっているのが、「あなたも、あなたたちも、そうだったじゃないか」、という、言い訳丸出しの一言であるらしい。

 あなたも、あなたたちも、そうだったじゃないか。

 自分が、ある事態に、迅速に、的確に、対応する、対処する、ことができなくて、追い詰められて、窮地に立たされたりしたときに、おもわず、そう言いたい、そう言って逃れたい、というその気持ちは、わからないわけではない。だけれども、それでもやっぱり、「それを言っちゃあ、おしまいよ」、だと、私も思う。

 「相手が、過去において、力を発揮しきれなかったことを引き合いに出して、自分を正当化しようという試みは、正当化どころか、自ら、己の力の無さを認めたことに他ならないわけだから」、とAくん。

 百歩譲って、それが、たとえば、恋人同士のことであるならば、ひょっとすると、まだ、それもまた可愛いね、などということに、マレになるかもしれない。でも、シモジモじゃないエライ人たちが、そんな稚拙なセリフを、恥じることなく能天気に宣い出して、可愛いね、などということには、絶対になり得ない。なり得るはずがない。

 あえて、もう一度。

 「それを言っちゃあ、おしまいよ!」

(つづく)