ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.328

はしご酒(4軒目) その七十九

「ヒャクネンサキノコト ハ ワカラナイケレド」

 それなりに名うての論客として評価も高く、TVなどのマスメディアで目にすることも少なくない、そんな彼がポロリとこぼした「100年先のことはわからないけれど」という言葉が、私のコメカミあたりにへばり付いたまま、なかなか剥がれないでいる。

 この国は、この星は、目先のことにばかりに気を取られ、重きを置き、背に腹は代えられぬ施策のミルフィーユのような積み重ねによって、このような現在に至っている、という思いが、私にはある。

 にもかかわらず、「100年先のことはわからないけれど」と前置きしてから述べられたモノに、はたして、どれだけの意味があるのだろうか、甚だ、疑問である。

 「プロ野球あたりの、今シーズンの優勝チーム予想、ってヤツと同じレベルなんだろうな」、と、突然、Aくん。

 「えっ!?」

 「100年後どころか、10年後の予想にしたって、そんなものをする野球評論家なんていないだろうし、ニーズだってあるとは思えない、そういうことなんだな、きっと」

 いくらなんでも、と、一瞬、思いはしたものの、よくよく考えてみると、そうしたものの考え方こそが、目の前で起こっていることを、長期的な時間の流れの中で、というよりは、実に短期的に、ある意味、目の前を通り過ぎる一過性のブーム程度のようなもの、として捉えて、面白おかしく持論を展開し、提供していく、という、いわゆる、思考の、考察の、バラエティー番組化、ということなのかもしれないな。そんな、ほとんど諦めにも似た合点の泡が、プクリと湧き上がったかと思うと、力なげにポンと割れた。(つづく)