ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.294

はしご酒(4軒目) その四十五

「ユトリ!」②

 あのとき、なぜ、この国は、教育の理想を目指すことができたのだろう。少なくとも現場は、成績に反映することが難しい、教材も内容も定まっていない、授業時間数が減ることによって、教科書を最後までやりきれない、などなどと、ネガティブな不安事項ばかり並び立て、少なからず多からず、その理想には消極的であった、と、僕は記憶している、とAくん。

 そして、三、四十年経って、なぜ、この国は、その理想をかなぐり捨てることを選んだのだろう。あれだけ反対していた現場が、気持ちを切り替えて、本気でポジテティブに、クリエイティブに、取り組んできたにもかかわらず、またまた現場を軽く無視して・・・、と、ぬかるみの上ギリギリを、ユルリユルリと移動する飛行船かなにかのように、静かに語り続ける。(つづく)