ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.239

はしご酒(3軒目) その六十八

「デモ ト シカ ト トキドキ オンシ」④

 すると。

 「その、『デモシカ先生』という言葉の反対側のエリアに、『恩師』という言葉があるように思うのだけど、もう、死語かな」、とZさん。

 恩師、か~。

 死語とまではいかないけれど、その一歩手前の絶滅危惧種の危うさは、充分に漂ってはいるかな。

 普通に地味で真面目なタイプであった私は、学校の先生にソコまでお世話になったという記憶がない。ただ、あの時のあの先生の一言で救われた、勇気が湧いた、決心がついた、というようなことは、ソレなりにあったと思う。

 そこで。

 「振り返ってみて、恩師、おられましたか?」、と、両脇の二人に尋ねてみる。

 う~ん、と、軽く唸り始めたZ’さんを横目に、Zさんが、口を切る。

 「いたわ。中学一年生のときに習った英語の先生。ホントにいい先生だったのよね~」

 「いい先生ですか・・・。でも、なぜ、その先生が、恩師なのですか」

 すると。

 「それはね」、と、遠い昔の記憶をたぐるように、そして、ちょっと嬉しそうに、ユルリユルリと語り始めたZさんなのである。(つづく)