ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.223

はしご酒(3軒目) その五十二

「ローリング ナ ストーン」②

 話題に、全くついていけなさそうな、そんなふうに見えたZさんに、ほんの少しだけ勇気を絞って尋ねてみる。

 「ローリング・ストーンズ、ご存じですか?」

 「もちろんよ、大昔の来日時に、ハッピ姿でタラップを降りてきた人たちでしょ」

 「あ~、それ、ビートルズだと思います」

 「そうなの?」

 「はい、たぶん」

 申し訳ないことをしたな、と思った。興味のない話題に無理矢理引き込もうとして良いことなど、そうあるものではない。

 ちなみに、Z’さんは、チャーリー・ワッツのファンらしい。まず、彼の名前をあげるとは、なかなかのマニアである。

 「ココぞ、というときに、ジャジーなテイストが感じられるんだよね、彼のドラミングには」、と、嬉しそうに語るZ’さん。

 ますますマニアック度が増す。チラリとZさんに目を向けてみたが、案の定、完全にアナザーワールドに旅立ったようだ。

 そんなZさん同様、ほとんど、ロックには興味がない私なのだけれど、このローリング・ストーンズだけは、妙に気になっていて(おそらくそれは、私のお気に入り監督の一人であるマーティン・スコセッシドキュメンタリー映画である『Shine a Light 』の影響も、あるのかもしれない)、とくに、ロン・ウッドが、ちょっとした憧れであったりするから、不思議だ。

 あらためて、スーパー高齢者ロックバンドの彼ら一人ひとりを思い起こしてみる。

 やっぱり、どこからどう見ても、とことんシャイン・ア・ライトで、根っからのローリングなストーンたち、だと、この私でさえ思う。(つづく)